「木へんに八」で書く「朳」は、読み方が難しいけれど、意味を知ると覚えやすい“道具系”の漢字です。
主な意味は、田植え前の田面をならす農具「えぶり」(柄振)を指すこと。さらに地域によっては、八戸の行事「えんぶり(朳)」の表記にも使われます。
この記事では、木へんに八「朳」の読み方・意味、苗字で見たときの考え方、熟語・地名・用語まで、辞典形式でまとめます。
もくじ
木へんに八「朳」の漢字の意味とは?
木へんに八の「朳」は、基本的に農具の「えぶり」を表す漢字です。長い柄の先に横板を付け、田植え前に田面をこすって土をならすために使われます。
「えぶり」は田畑の地ならしだけでなく、穀物の実などをかき寄せる用途でも使われることがあります。いわば“昔の手作業のならし道具”です。
また「朳」は、青森県八戸周辺の豊作祈願行事「えんぶり(朳)」の表記としても知られています。文脈が農具なのか行事名なのかで、同じ字でも受け取り方が変わります。
木へんに八「朳」|部首・画数・常用漢字(漢検目安)など基本情報
「朳」は部首が木(きへん)、総画数は6画です。常用漢字ではなく、環境によって表示しづらいこともあるJIS第3水準の漢字として扱われます。
地名や資料で必要になる場面はありますが、日常で頻出する字ではないため、漢検の目安は配当外として紹介されることが多いです。文字化け対策としてUnicodeも控えておくと安心です。
基本データ
| 漢字 | 朳 |
|---|---|
| 部首 | 木部(き・きへん) |
| 総画数 | 6画 |
| 常用漢字 | 常用外 |
| 漢検目安 | 配当外 |
| 規格 | JIS第3水準 |
| 文字コード | Unicode:U+6733 |
木へんに八「朳」の漢字読み方|音読み
木へんに八の「朳」の音読みは、基本が「ハツ」です。辞典によっては「ハチ」を併記することもあります。
ただし「朳」は常用漢字ではなく、ふりがなが無い文章で単独登場することは少なめ。読みが必要な場面では、後述する訓読み「えぶり」(道具名)で出てくるケースが目立ちます。
音読みまとめ
- 代表:ハツ
- 併記されることがある:ハチ
木へんに八「朳」の漢字読み方|訓読み
訓読みは「えぶり」です。農具の名称としての読みがそのまま訓読みになっており、文脈が農作業・田畑・地ならしの話なら「えぶり」で読むのが基本です。
「えぶり」は別表記で「柄振」とも書かれ、田面をならす作業は「えぶりすり」とも呼ばれます。つまり「朳」を見たら、“ならす道具”のイメージまでセットで覚えると強いです。
なお地域名としての「えぶり」は、漢字表記がぶれやすい(代用表記が出やすい)ので、地名では公式の表記を優先して確認しましょう。
「朳」の成り立ち(字源)|木+八でなぜこの意味になる?
「朳」は、成り立ちとして形声文字(意味+音)と説明されます。左の木(きへん)が「木・木製の道具」の仲間であることを示し、右の八が音(読み)の手がかりになる形です。
「えぶり」は、長い柄と横板を組み合わせた道具で、昔は木製のものも多かったため、意味のカテゴリとして木へんが付くのは自然です。
また「朳」はJIS第3水準で扱いにくいことがあり、見た目が近い別字で代用されて混同される背景もあります。字源の理解に加えて、実務では表記ゆれにも注意が必要です。
木へんに八「朳」が使われる苗字と読み方
結論から言うと、木へんに八の「朳」がそのまま入った苗字は、一般的な名字としてはかなり稀です。日常で出会う頻度は低く、「苗字で見る」より「地名・用語で見る」ほうが多いタイプです。
もし名簿や書類で「朳」を含む氏名が出た場合は、推測よりもふりがな(本人の正式な読み)を最優先してください。珍字ほど、家ごとの読み(名乗り)が優先されます。
また「朳」はシステム上の都合で代用表記が起きやすい字です。データ入力では、原本の字を確認しつつ、必要ならUnicode(U+6733)を控えておくと照合ミスを減らせます。
木へんに八「朳」を使う熟語・言葉と読み方
「朳」は四字熟語のような定番で増えるタイプではなく、実質的には農具名・行事名としての“言葉”が中心になります。だからこの章は、使われ方が分かる代表語を押さえるのがコツです。
特に「朳=えぶり」は、意味と読みが直結していて覚えやすいポイント。そこから派生する言い方(作業名・別表記)をセットで覚えると、文章中でも迷いません。
「朳」を含む言葉(例)
| 言葉 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| 朳 | えぶり/ハツ | 田面をならす農具(柄振) |
| 柄振 | えぶり | 「朳」と同じ農具を指す別表記 |
| えぶりすり | えぶりすり | えぶりで田面をこすってならす作業 |
| えんぶり(朳) | えんぶり | 八戸周辺の豊作祈願の行事名 |
木へんに八「朳」を含む地名・用語と読み方
木へんに八の「朳」は、地名に残っている例があります。代表例として、福岡県遠賀郡水巻町の地名「えぶり」は、自治体案内でも「木偏に八」と明記されています(ネット上で別字表記が出ることもあるため注意)。
山名では、新潟県の朳差岳(えぶりさしだけ)が有名で、資料によっては別表記(杁差岳など)も見かけます。読みは基本的に「えぶり」が軸になります。
地名・用語の例
- 朳(えぶり):福岡県遠賀郡水巻町の地名
- 朳差岳(えぶりさしだけ):新潟県の山名(別表記が出ることも)
- Unicode:U+6733:外字管理・検索のときに便利

