「木へんに工(エ)」で「杠」と書く漢字は、漢検では1級レベルとして扱われることが多いレア字です。
意味はひとつではなく、①小さな橋、②よこぎ(横木)・旗竿、③大型のさおばかり(杠秤)など複数あります。さらに人名・苗字では「ゆずりは」と読むケースもあるので、読み分けがポイントです。
もくじ
木へんに工(エ)「杠」の漢字の意味とは?
「杠」の意味は、辞典では大きく3系統に整理できます。まず代表的なのが「小さな橋」。川などに一本の木を渡して作るような、素朴な橋を指します。
次に「よこぎ(横木)」の意味があり、そこから転じて「はたざお(旗竿)」としても説明されます。見た目の通り、木材をまっすぐ渡した“棒状のもの”のイメージです。
もうひとつが「ちぎ/ちきり」で、重い物を量る大型のさおばかり(杠秤)を表します。文脈で「橋」なのか「棒」なのか「はかり」なのかを見分けると、意味がスッと入ります。
意味のまとめ
- 小さな橋
- よこぎ(横木)/はたざお(旗竿)
- ちぎ・ちきり:大型のさおばかり(杠秤)
木へんに工(エ)「杠」|部首・画数・常用漢字(漢検目安)など基本情報
「杠」は部首が木(きへん)、画数は7画です。常用漢字ではなく、辞書では難読漢字として扱われます。
文字コード面では、JIS第2水準に入っているため、極端に表示できないケースは少なめですが、環境によっては字体差が出ることもあります。検索やデータ入力ではUnicodeを控えておくと安心です。
基本情報(一覧)
| 漢字 | 杠 |
|---|---|
| 部首 | 木(き・きへん) |
| 画数 | 7画 |
| 常用漢字 | 常用外 |
| 漢検目安 | 1級 |
| JIS水準 | 第2水準 |
| Unicode | U+6760 |
木へんに工(エ)「杠」の漢字読み方|音読み
音読みの基本は「コウ」です。熟語の読みでも軸になるのはこの読みで、たとえば「杠杆(こうかん)」のように読まれます。
辞典やサイトによっては、音として「ク」を併記する場合もありますが、一般的にはまず「コウ」を押さえておけばOKです。読みが必要な場面では、次章の訓読み・名乗りも合わせて確認しましょう。
音読み
- コウ(基本)
- ク(併記されることがある)
木へんに工(エ)「杠」の漢字読み方|訓読み
訓読みは「はたざお」、「ちぎ」、「ちきり」などが代表的です。特に「ちぎ/ちきり」は、熟語の「杠秤」(大型のさおばかり)で出会いやすい読み方です。
また資料によっては、訓として「てこ」が挙がることもあります。これは「杠杆(こうかん)=てこ」という意味領域に寄せた理解として押さえると混乱しにくいです。
さらに人名・苗字では「ゆずりは」(または「ゆづりは」など)と読む例があり、これは植物名のユズリハ(譲葉)の読みとして扱われます。
訓読み・名乗りの整理
- はたざお(旗竿)
- ちぎ/ちきり(大型のさおばかり=杠秤)
- てこ(資料によって挙がる)
- (名乗り)ゆずりは(苗字・人名で見かける)
「杠」の成り立ち(字源)|木+工(エ)でなぜこの意味になる?
「杠」は形として「木」+「工」の組み合わせで、木材の“まっすぐな棒・横木”を強く連想させる字形です。意味の「よこぎ」や「はたざお」は、この形からイメージしやすいタイプですね。
また、字書では「杠」は「槓」の簡体字・異体字として扱われることがあり、「杠杆/槓杆」のように“てこ”の語彙に繋がります。日本語では読みとして「こうかん」が定着しているため、成り立ちを知ると熟語も覚えやすくなります。
まとめると、棒状の木材(横木・竿)→ 橋(一本橋)→ はかり(さおばかり)と、用途の方向に意味が広がった、と捉えると理解がスムーズです。
木へんに工(エ)「杠」が使われる苗字と読み方
「杠」は苗字としても実在し、読み方は主に「ゆずりは」、「ゆづりは」、「あかなし」などが挙げられます。全国人数は推定で約1,200人とされ、珍しい苗字の部類です。
由来の説明では、肥前国(現在の佐賀県・長崎県)にあたる地域の「杠山(ゆずりはやま)」をルーツとする説が紹介されています。地名由来の苗字は読みが固定されやすいので、名簿で見かけたら「ゆずりは」系を第一候補にすると当たりやすいです。
「杠」苗字(例)
| 表記 | 読み方 | 補足 |
|---|---|---|
| 杠 | ゆずりは/ゆづりは/あかなし | 推定 約1,200人(サイト差あり) |
木へんに工(エ)「杠」を使う熟語・言葉と読み方
「杠」を含む熟語は多くはありませんが、意味の特徴がはっきりしているため、押さえるべき語は覚えやすいです。特に「杠秤」と「杠杆」は代表格です。
「杠秤(ちぎり/ちきり)」は、重い物を量る大型のさおばかりのこと。辞書では「扛秤」とも書く、と説明されることがあります。もう一つの「杠杆(こうかん)」は、物理でいう「てこ」を指します。
「杠」を含む熟語・言葉
| 熟語・言葉 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| 杠秤 | ちぎり/ちきり | 大型のさおばかり |
| 杠杆 | こうかん | てこ(レバー) |
| 杠(単字) | はたざお | 旗竿 |
木へんに工(エ)「杠」を含む地名・用語と読み方
地名では、佐賀県側の歴史地名として「上杠山村(かみゆずりはやまむら)」、「下杠山村(しもゆずりはやまむら)」などが知られています。これらは「杠」を「ゆずりは」と読む典型例です。
また現在の住所表記でも、三瀬周辺の大字に「杠」の字が残る例があり、苗字由来(杠さん)とも結びついて理解しやすいポイントです。
用語としては、前章の「杠秤」(ちぎり/ちきり)や「杠杆」(こうかん=てこ)を押さえておくと、「杠」を見かけたときの読み分けがかなりラクになります。
「杠」を含む地名例
- 上杠山村(かみゆずりはやまむら)
- 下杠山村(しもゆずりはやまむら)
- 杠山(ゆずりはやま)

