木へんに分「枌」の読み方・苗字や熟語【漢字辞典】

「木へんに分」と書く「枌」は、木を薄く削った「そぎ板」や、樹木の「にれ（しろにれ）」を表す漢字です。

普段の文章ではあまり見かけませんが、地名（例：枌所）や苗字（枌・枌谷など）では現役で使われています。

ここでは「枌」の意味・読み方から、成り立ち、苗字、熟語、地名まで、漢字辞典形式でまとめます。

木へんに分「枌」の漢字の意味とは？

「枌」には大きく2つの意味があります。1つは、木を薄くそいで作った「そぎ（そぎ板）」。もう1つは、樹木の名である「にれ（にれの一種／しろにれ）」です。

日本語の用法では、特に「そぎ＝薄い板」の意味が分かりやすく、古い語彙や地名・苗字の読みの元にもなっています。

「木の名」としての意味は中国古典系の説明で目立ち、辞書では「枌楡（ふんゆ）」のように「にれ」を指す語として載ることがあります。

「枌」は木部（きへん）の漢字で、総画数は8画。常用漢字ではなく、漢検の目安は1級相当として扱われます。

読みの中心は音読み「フン」、訓読み「そぎ」「にれ」。コード情報（Unicodeなど）も含め、辞典的な基本データは次のとおりです。

「枌」の音読みは「フン」です。熟語で出るときも、この音読みが基本になります。

代表例が「枌楡（ふんゆ）」で、「にれ（しろにれ）」を指す語として説明されます。文章で見かけたら、まずは「フン」と読めると安心です。

辞書・サイトによっては音読みとして「ブン」を併記するものもありますが、一般的には「フン」で押さえるのが実用的です。

訓読みは「そぎ」と「にれ」が代表的です。「そぎ」は木を薄くそいだ板＝そぎ板のこと。

一方の「にれ」は樹木名で、辞書では「にれの一種」や「しろにれ」として説明されることがあります。意味の芯は“木に関する名”です。

また、苗字の読みとしては「へぎ」（＝削いだ板のイメージにつながる読み）で用いられる例も知られています。

「枌」は形声文字で、左の「木」が意味（木・木製のもの）を表し、右の「分」が音（フン）を表します。

意味としては、木を「分ける／削いで分ける」イメージが「そぎ板（そぎ）」に結びつきやすく、日本語の用法として定着したと説明されます。

一方で中国系の字義では、樹木の名（にれ／しろにれ）として扱われ、「枌楡」のように連語で示されるのが典型です。

「枌」は苗字として実在し、読みは「そぎ」や「へぎ」が知られています。人数は多くないとされ、かなり珍しい苗字の部類です。

また「枌」を含む苗字として、枌谷（そぎたに）、枌野（そぎの／そげの）、中枌（なかそぎ）なども掲載されます。

熟語としては、木の名（にれ）を表す「枌楡（ふんゆ）」が代表例です。辞書的にはこれで「にれ（しろにれ）」を示します。

日本語の語彙として押さえやすいのは、訓読みを使う「枌（そぎ）」や、薄い板を指す「枌板（そぎいた）」です。

「枌」は単体で頻出しない分、出会ったら「そぎ板」か「にれ」のどちらの文脈かを見て判断すると読みやすくなります。

「枌」は地名で見かけることがあり、読みは「そぎ」系が多いのが特徴です。代表例が枌所（そぎしょ）で、東西に分かれた地名（枌所東・枌所西）としても出てきます。

また奈良県の枌尾（そぎお）のように、漢字は難しめでも読みが固定されている地名もあります。

歴史地名としては「枌所村（そぎしょむら）」のように記録される例もあり、現行地名（枌所東・枌所西）につながる形で説明されます。