「風邪がうつる」の「うつる」は、漢字にするなら「移る」で誤りではありません。
ただし、病気の文脈では「移る」と書くと意味が広く(場所・状態の移動なども含む)読み手によって解釈がぶれるため、実務ではひらがなで「うつる」に寄せる運用が一般的です。
もくじ
風邪が「うつる」の漢字は「移る」で通るが、「うつる」「感染する」が最適
「風邪がうつる」の漢字は「移る」で本当に正しいのか、結論を先に整理します。
- 「移る」=辞書的に「病気が伝染する」の意味を含むため、「風邪が移る」は意味として成立します。
- 一方で、病気の「うつる」はかな書きが一般的という運用(校閲・表記実務)があり、読みやすさの点で有利です。
- 意味を医学寄りに明確化したい場合は、動詞を「うつる」にこだわらず「感染する」にすると誤解が最も起きにくいです(「感染」は「病気がうつること」を含む名詞)。
「うつる」はなぜ病気に使われるようになったのか?
「うつる」は本来、ものごとが別の対象へ移動・転移する(状態や性質が移っていく)という広い意味領域を持つ語です。国語辞典系の記述では、「色や香りがしみつく」「ある状態が他に伝わる」といった用法が並び、その延長として「病気が伝染する」が位置づけられています。
この辞書記述が示すポイントは、病気だけが特別に「うつる」と言われるのではなく、火事の延焼などの「状態が他へ伝わる」現象と同じ枠組みで捉えられてきた、ということです(古い用例も「うつりて」の形で引かれています)。
「風邪がうつる」に「移る」が使われる理由
「移る」は、辞書上「病気が伝染する」義を明示的に含みます。つまり、「うつる」を漢字に寄せるなら、語義と最も素直に対応するのが「移る」です。
ただし「移る」は、病気以外にも「関心が移る」「時代が移る」など多義であるため、病気の話だけをしたい文章では意味の焦点がぼけることがあります。このため、校閲実務(新聞など)では病気の「うつる」はかな書きが一般的とされています。
「風邪がうつる」の漢字に当て字「感染る」「伝染る」は正しいのか?
まず「感染」「伝染」はどちらも名詞として確立しており、「感染」は「病気がうつること」を意味に含みます。
一方で「感染る」「伝染る」のように、名詞に「る」を付けて動詞化した表記は、一般に当て字(見た目で意味を寄せた表記)として扱われやすいタイプです。校閲の観点では「うつる(かな)」に寄せるのが一般的で、「感染る」「伝染る」は当て字として存在はするが新聞では基本的に使わない、という説明が出ています。
ブログ実務での判断基準としては、読者に「珍しい表記」「造語っぽさ」「漫画タイトルの連想」などが立つと本文の主旨が散りやすいので、意図がない限り「感染する」(=名詞+する)に逃がすのが一般的でしょう。
「風邪がうつる」の漢字に「遷る」は使える?
「遷」は常用漢字に含まれます。
ただし、常用漢字表で示される読みは基本的に音読み中心で、実務上「遷」を「うつる」と読むのは表外訓(常用の枠外の読み)として扱われやすい、という説明があります。
そのため「遷る」を病気の「うつる」に当てるのは、辞書的可能性がゼロではないとしても、一般読者向けブログでは読みにくさ(説明コスト)が勝つため、公的・ビジネス文書でも避けられやすい表記と言えるでしょう。
「風邪がうつる」の漢字:読み手に優しいおすすめ表記
読みやすさ最優先(一般向け)
「うつる」(ひらがな)が最も無難で最適です。校閲実務でも、病気の意味の「うつる」はかな書きが一般的とされます。
意味を医学・公衆衛生寄りに明確化
意味合いを伝える上では「感染する」が最も明確です。「感染」は辞書上「病気がうつること」を含みます。
漢字にしたい場合
「風邪がうつる」を漢字表記したいのであれば「風邪が移る」が辞書義として成立します。ただし多義性があるため、本文では「感染」「感染症」など周辺語で意味を固定すると読みやすくなるでしょう。
まとめ:「風邪がうつる」の漢字「移る」は間違いではないが、ひらがな表記がオススメ!
「風邪がうつる」の「うつる」を漢字にする場合、「移る」は辞書的に「病気が伝染する」義を含むため正しい漢字使いです。
一方で、病気の「うつる」はかな書きが一般的という運用があり、ブログでも読者の理解コストを下げられます。読みやすさ重視なら「うつる」、意味の精密さ重視なら「感染する」が、実務上の最適解になりやすいでしょう。
参考文献・出典
- 「移る」辞書項目(「病気が伝染する」義、用例)
- 「感染」辞書項目(「病気がうつること」を含む)
- 「伝染」辞書項目(「うつる」義・語史)
- 校閲系解説(病気の意味の「うつる」はかな書きが一般的/当て字の存在)
- 「常用漢字表」(「遷」が常用漢字であること)
- 言葉解説(「遷」の読みの扱い/表外訓に触れる説明)

