「彼は少し大げさなきらいがある」——このような文章を読んで、「きらいがある」の意味がすぐにわかりましたか?「嫌い」とは関係なさそうだとわかっても、正確な意味や使い方を説明できる人は意外と少ない表現です。
「きらいがある」は日本語の書き言葉・改まった文体でよく使われる表現です。意味と使い方を正しく理解することで、文章表現の幅が大きく広がります。本記事で詳しく解説します!
もくじ
「きらいがある」の意味とは?「嫌い」とは別の言葉
「きらいがある」の「きらい」は、好き嫌いの「嫌い(きらい)」とは異なる言葉です。ここでの「きらい」は「傾向・癖・偏り」を意味する名詞で、漢字では「嫌い」ではなく「きらい」とひらがなで書くか、あるいは「気らい」と表記されることもあります。
「きらいがある」全体の意味は、「〜という傾向・癖がある」「〜しがちである」「〜に偏る性質がある」というものです。主に好ましくない傾向・欠点・悪癖を指摘するときに使われます。
たとえば「彼は物事を悲観的に捉えるきらいがある」と言えば、「彼には悲観的に考えてしまう傾向がある」という意味になります。
「きらいがある」の語源と「嫌い」との関係
「きらいがある」の「きらい」は、もともと「種類・性質・傾向」を意味する古語に由来します。「〜の嫌い(きらい)がある」という形で、「〜という性質・偏りが見受けられる」という意味で江戸時代頃から使われてきたとされています。
好き嫌いの「嫌い(きらい)」と語源的に無関係ではないとする説もありますが、現代では意味が完全に分化しており、「傾向・癖」という名詞としての「きらい」は独立した語として扱われます。
いずれにせよ現代語として「きらいがある=傾向がある」と覚えておけば実用上は問題ありません。漢字表記が定まっていない点からも、現代ではひらがな表記が一般的です。
「きらいがある」の正しい使い方と文法的なポイント
「きらいがある」を使うときのポイントをまとめます。
基本の構文
「〜する/〜な きらいがある」という形で使います。「きらいがある」の前には動詞の連体形や形容詞が来るのが基本です。
- 「物事を先延ばしにするきらいがある」
- 「感情的になりやすいきらいがある」
- 「言葉が足りないきらいがある」
ニュアンスの注意点
「きらいがある」はやや批判的・反省的なニュアンスを含むことが多く、ポジティブな傾向を述べるのには通常使いません。「優秀なきらいがある」のような用法は不自然です。また主語は人物に限らず、組織・社会・作品なども対象になります。
「きらいがある」の例文:ビジネス・日常での実例
実際の文章でどのように使われるか、例文で確認しましょう。
ビジネス・改まった文体での例
- 「弊社の提案は説明が冗長になるきらいがあるため、改善が必要です。」
- 「この業界では短期的な利益を優先するきらいがある。」
- 「彼女のレポートは結論が曖昧になるきらいがあると指摘された。」
日常・論評での例
- 「あの人は自分の意見を押し付けるきらいがあるから、話し合いが難しい。」
- 「最近のニュースは感情的な報道に偏るきらいがある。」
書き言葉・論評・ビジネス文書での使用頻度が高く、話し言葉では「〜しがち」「〜傾向がある」と言い換えられることが多いです。
「きらいがある」の類語・言い換え表現との違い
「きらいがある」と似た意味を持つ表現との違いを整理します。
- 〜しがち:最も日常的な言い換え。口語でも自然に使える。「忘れがち」など。
- 〜傾向がある:やや硬い表現だが「きらいがある」よりも中立的。批判色が薄い。
- 〜癖がある:個人の習慣的な行動に使われる。「きらいがある」より具体的でカジュアル。
- 〜偏りがある:バランスの欠如を指摘するときに使う。
「きらいがある」はこれらの中でも最も文語的・格調のある表現であり、論評・批評・ビジネス文書などで使うと文章の品格が上がります。一方で日常会話で使うとやや堅苦しい印象を与えることもあります。
「きらいがある」を使いこなして文章の幅を広げる
「きらいがある」は、単に「〜傾向がある」と言うよりも語彙の豊かさと文章の格調を高める効果があります。特に報告書・論文・コラム・批評文などで意識的に使うと、表現が洗練されます。
ただし使いすぎると文体が重くなるため、一文書に一〜二回程度に留め、文脈に応じて「〜しがち」「〜傾向にある」などと使い分けるのが理想的です。
「きらいがある」を知っているだけで語彙レベルが一段上がる表現です。日頃から新聞・ビジネス文書・書籍などに触れるなかで使われている場面を意識して観察すると、自然と使いこなせるようになるでしょう。

