お世話になった人へ贈り物をするとき、「贈り物」を謙譲語でどう言えばいいのか、迷ったことはありませんか。ビジネスや目上の人へのメールでは、言葉選びで印象が変わります。
結論から言うと、「贈り物」という名詞自体は謙譲語ではなく、へりくだるのは「贈る」という動作か、品物の言い換え。ここを押さえると、自然な言い方ができます。
この記事では、贈り物の謙譲語の考え方、「差し上げる」などの言い方、品物の言い換え、例文まで、わかりやすく解説します!
もくじ
「贈り物」という言葉は謙譲語?
まず、大前提を確認しましょう。「贈り物」という名詞そのものは、謙譲語ではありません。名詞は基本的に謙譲語にならないためです。
では、どこをへりくだるのか。ポイントは2つで、「贈る・あげる」という自分の動作を謙譲語にすること、そして品物そのものを控えめな言葉に言い換えることです。
じつは現代では、品物を無理に下げるより、自分の動作を控えめに言うほうが、やわらかく自然な印象になるとされています。「贈り物です」より「心ばかりの品をお贈りします」と言うだけで、ぐっと丁寧になります。まずは「動作の謙譲語」と「品物の言い換え」を分けて考えると、迷いが減ります。
「贈る・あげる」の謙譲語一覧
まずは、動作の謙譲語から見ていきましょう。「贈る・あげる」には、いくつかの謙譲語があります。
「贈る・あげる」の謙譲語
- 差し上げる:「贈る・あげる」の最も一般的な謙譲語(「心ばかりの品を差し上げます」)
- お贈りする/お贈りいたします:「贈る」の謙譲表現
- 進呈する:目上や多くの人へ贈る改まった表現(「粗品を進呈いたします」)
- 贈呈する:公的・儀式的な場面(「記念品を贈呈いたします」)
ここで注意したい誤用があります。「進呈」「贈呈」に「ご」を付けて、自分の行為に「ご進呈いたします」と使うのは誤りです。「ご」は相手を敬う接頭語なので、自分が贈る動作に付けると、敬う対象が自分に向いてしまいます。自分が贈るときは「進呈いたします」「差し上げます」が正解です。
贈り物の品をへりくだる言い換え
次に、品物そのものを控えめに言う「へりくだった言い換え」を見ていきましょう。
品物のへりくだった言い換え
- 心ばかり(の品):思いやりや感謝を柔らかく伝える。上品で、目上の人に向く
- 粗品(そしな):取引先・お客様に控えめに渡すとき。企業のノベルティなどにも
- ささやかな品/ほんの気持ち:柔らかく控えめな表現
お茶なら「粗茶」、お菓子なら「粗菓」、お酒なら「粗酒」のように、品物ごとの言い換えもあります。迷ったときは「心ばかりの品」が、相手や場面を問わず使いやすく、敬意と控えめさのバランスが取れていておすすめです。ただし、「粗品」は社内の目上の方にはやや堅く感じられることもあるので、場面を見極めましょう。
「つまらないものですが」は使わない方がいい?
贈り物の定番フレーズ「つまらないものですが」。じつは近年、使わないほうがよいという意見も増えています。
「つまらないものですが」は、本来は謙遜を表す言葉ですが、「本当につまらないものを持ってきたのか」と、文字どおり誤解される可能性が指摘されているためです。せっかくの贈り物なのに、価値を下げすぎてしまうことも。
代わりに、「心ばかりの品ですが」「ほんの気持ちですが」「お口に合うか分かりませんが」「評判の品と伺いましたので」といったポジティブな表現がおすすめです。品物の価値を下げすぎず、それでいて控えめな気持ちが伝わります。謙遜しつつも、相手が気持ちよく受け取れる言い方を選ぶのが、現代的なマナーと言えるでしょう。
「ご笑納ください」の使い方と注意点
贈り物に添える言葉として人気なのが「ご笑納ください」。使い方にはコツと注意点があります。
「ご笑納ください」は、「つまらないものですが、笑って受け取ってください」という、謙遜を込めた表現。目下から目上への贈り物に添える定番で、場を和ませる効果があります。「心ばかりの品ですが、どうぞご笑納ください」のように使います。
ただし、名前に「笑」の字が入る通り軽いニュアンスがあるため、注意が必要です。高価なもの、公式な謝礼、そしてお詫びの品には使いません。お詫びの場面で「笑って受け取って」と言っては、かえって失礼にあたります。また、目下や後輩へのプレゼントに使うのも不自然(目上へ贈るときの表現のため)。相手との関係や場面を意識して使いましょう。
贈り物を受け取る側の謙譲語
逆に、自分が贈り物を受け取る側になったときの謙譲語も知っておくと安心です。受け取る側は、感謝を謙譲語で伝えます。
「受け取る・もらう」の謙譲語は、「いただく」「頂戴する(ちょうだいする)」。「頂戴する」はより丁寧で、お礼状やビジネスの場で使うと格調が出ます。さらにかしこまった表現として、「拝受する」「賜る(たまわる)」もあります。
たとえば、「過分なお心遣いを頂戴し、恐縮しております」「結構なお品を賜り、誠にありがとうございました」「いただいたお品は、大切に使わせていただきます」のように使います。贈る側の謙譲語(差し上げる)と、受け取る側の謙譲語(いただく)を混同しないことが、正しく使い分けるコツです。
贈り物の謙譲語を使った例文
最後に、実際に使える例文を、対面とメールに分けて紹介します。そのまま使えるので、参考にしてください。
対面で渡すときの例文
- 「こちら、心ばかりの品でございます。お納めください」
- 「ささやかですが、感謝の気持ちを込めてお贈りいたします」
メールで伝えるときの例文
- 「平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。日頃の感謝を込めまして、心ばかりの品をお送りいたしました。ご笑納いただければ幸いです」
ポイントは、対面では言葉を重ねすぎず、短く気遣いのある一言にすること。長い説明より、簡潔な謙譲語のほうが好印象です。メールでは「あいさつ→贈り物の趣旨→控えめな表現→結び」の流れで構成すると、自然で丁寧な文章になります。大切なのは、正しい謙譲語に、相手を思う気持ちを添えることです。
【参考】
- ビジネス敬語・マナー関連メディアの「贈り物の謙譲語」解説、文化庁『敬語の指針』
- 「差し上げる・進呈・贈呈」の使い分け、「心ばかり・粗品」の言い換え、「ご笑納」の用法

