8日の読み方はなぜ「ようか」?由来や「はちにち」と読まない理由

8日」を何と読むか聞かれたとき、ほとんどの人はすぐに「ようか」と答えるでしょう。しかし、なぜ「はちにち」ではなく「ようか」と読むのか、その理由を正確に説明できる人は意外と少ないはずです。

実は、この読み方は日本語の歴史と深く関係しており、古代から続く日本固有の数の数え方「やまとことば(和語)」に由来しています。「一日(ついたち)」「二日(ふつか)」「三日(みっか)」といった日付の読み方も同じ系統です。

この記事では、「8日」の読み方が「ようか」である理由を、言葉の成り立ちや歴史的背景からわかりやすく解説します。また、「はちにち」と読まない理由や、似た読み方を持つほかの日付との関係、日常生活での正しい使い方についても詳しく説明していきます。日本語の奥深さを知りながら、「ようか」という読み方の由来をぜひ学んでみてください。

「8日」の読み方は「ようか」――正しい読み方を確認しよう

まず基本的な確認から始めましょう。「8日」は「ようか」と読みます。「はちにち」とは読みません。この読み方は、カレンダーや日付の表記において当然のように使われていますが、なぜそのように読むのかを意識したことがない方も多いのではないでしょうか。

日本語の日付の読み方には大きく分けて2つの系統があります。ひとつは「いちにち・ににち・さんにち」のような漢語(音読み)に基づく読み方、もうひとつは「ついたち・ふつか・みっか」のような和語(訓読み・やまとことば)に基づく読み方です。

「8日(ようか)」は後者の和語系に属します。1日から10日、そして20日と特定の日付には和語読みが使われており、これらはすべて古くから日本語に根付いた伝統的な読み方です。以下に、代表的な日付の読み方をまとめます。

日付読み方由来
1日ついたち和語(月立ち)
2日ふつか和語(ふたか)
3日みっか和語(みかか)
4日よっか和語(よかか)
5日いつか和語
6日むいか和語
7日なのか和語
8日ようか和語
9日ここのか和語
10日とおか和語
20日はつか和語

このように、多くの日付には独特の和語読みが存在します。「8日」の「ようか」もそのひとつであり、日本語の伝統に根ざした読み方なのです。

「ようか」の語源――やまとことばの数え方「や」とは

「8日」が「ようか」と読まれる直接の理由は、古代日本語(やまとことば)における「8」の読み方が「や」だったからです。現代では「8」を「はち(漢語)」と読むことが多いですが、日本に漢字や漢語が入ってくる以前から、日本人は独自の言葉で数を数えていました。

やまとことばでの数の読み方は以下のようになります。

  • 1(ひ)
  • 2(ふ)
  • 3(み)
  • 4(よ)
  • 5(い)
  • 6(む)
  • 7(な)
  • 8(や)
  • 9(ここの)
  • 10(とお)

「8日」は「や+か(日)」が組み合わさり、音が変化して「ようか」になったと考えられています。「か」は古語で「日(ひ)」を意味し、「なのか(7日)」「むいか(6日)」なども同じ構造です。「ようか」の「よう」は「や」が変化したものであり、長い歴史の中で現在の発音に定着しました。

ちなみに「4日(よっか)」も同じ「よ(4)」に由来しており、やまとことばで「4」を意味する「よ」が使われています。「8」の「や」と「4」の「よ」がいずれも「よ」の音を含むのは、古代語のうえで関連する音韻変化があったためと考えられています。

なぜ「はちにち」と読まないのか――漢語読みが使われない理由

「8」は「はち」、「日」は「にち」と読むのだから、「8日」は「はちにち」でもよさそうに思えます。しかし実際には「はちにち」という読み方は日本語として存在しません。その理由を理解するには、日本語における「和語」と「漢語」の使い分けの歴史を知る必要があります。

日本に漢字が伝来したのはおおよそ4〜5世紀ごろとされています。それ以前から日本人はやまとことばで日常生活を営んでおり、日付の数え方もすでに確立されていました。漢字・漢語が入ってきたあとも、日常生活に深く根付いた日付の読み方はそのまま和語が使われ続けたのです。

特に1日〜10日、および20日は、農業や漁業などの生活サイクルと密接に結びついた重要な単位であったため、古来からの読み方が強く保持されました。一方で、「11日(じゅういちにち)」「15日(じゅうごにち)」など11日以降の多くは漢語読みが定着しています。これは、10を超えた数の概念は漢語とともに広まったためと考えられています。

つまり「8日」を「はちにち」と読まないのは、日本語の歴史において和語の日付読みが優先されてきたからであり、誤りというよりも「そもそも存在しない読み方」と理解するのが正確です。

「ようか」に似た日付の読み方――和語読みの共通ルールを知ろう

「8日(ようか)」の読み方を理解する際、ほかの和語読みの日付と比較するとさらに深く理解できます。和語読みには共通のルール「数のやまとことば+か(日)」という構造があります。

「~か」がつく日付のグループ

「ふつか(2日)」「みっか(3日)」「よっか(4日)」「いつか(5日)」「むいか(6日)」「なのか(7日)」「ようか(8日)」「ここのか(9日)」「とおか(10日)」は、いずれも「数の和語+か」という形になっています。「か」は古語の「日(け・か)」に由来するとされ、日数を表す単位として機能していました。

特殊な読み方を持つ日付

一方、「1日(ついたち)」と「20日(はつか)」は少し異なります。「ついたち」は「月立ち(つきたち)」が転じたもので、月の始まりを意味します。「はつか」は「二十日」と書き、「はた(二十)+か(日)」が変化したと考えられています。これらは単純な「数+か」の構造ではなく、それぞれ独自の成り立ちを持つ点が特徴的です。

「8日」の「ようか」も、同じ仲間として覚えると日付全体の読み方がスムーズに身につきます。外国語学習者や子どもに教える際にも、このグループ分けで説明すると理解しやすいでしょう。

「ようか」の漢字表記と現代での使い方

「8日」は数字で書くのが一般的ですが、漢字では「八日」とも書きます。どちらも読み方は「ようか」で変わりません。ビジネス文書や公文書では「八日」という漢字表記が使われることもあるため、「八日=ようか」という対応関係も覚えておくと実用的です。

日常・ビジネスでの使用例

以下に、「8日(ようか)」が実際に使われる場面の例文を挙げます。

  • 「会議は8日(ようか)の午後2時からです。」
  • 「締め切りは今月の八日となっております。」
  • 「8日間(ようかかん)の旅行を計画しています。」
  • 「発売日は3月8日(さんがつようか)です。」

「8日間」の読み方にも注意

「8日」が日付を指す場合は「ようか」ですが、「8日間」のように期間を表す場合も「ようかかん」と読みます。この場合も「はちにちかん」とは読まず、やはり和語の「ようか」が使われる点を覚えておきましょう。一方、「8日後」は「ようかご」とも「はちにちご」とも読まれることがありますが、一般的には「ようかご」が自然な日本語とされています。

子どもや外国語話者に「ようか」を教えるときのポイント

「8日」の読み方は、日本語を学ぶ子どもや外国語話者にとって難関のひとつです。なぜなら、規則性があるようで例外も多く、丸暗記が必要に見えてしまうからです。しかし、やまとことばの数え方という「軸」を理解すれば、ずっと覚えやすくなります

教えるときの順番とコツ

まず「日本語にはふたつの数え方がある(和語と漢語)」という前提を伝えます。そのうえで、1〜10日の和語読みをひとまとまりとして提示し、「や→ようか(8日)」という変化を具体例として挙げると理解が深まります。

次に、「なのか(7日)」「ようか(8日)」「ここのか(9日)」のように連続して声に出して読む練習をすると、リズムで覚えられます。繰り返し声に出すことで、意味よりも先に音として定着するのが効果的な学習法です。

また、カレンダーを使って実際の日付と読み方を対応させる練習も有効です。視覚と音声を組み合わせることで、記憶に残りやすくなります。外国語話者の場合は「やまとことばの数」と「漢語の数」を表として並べて見せるだけで、納得感が大きく変わります。

「ようか」から学ぶ日本語の面白さ――言葉の歴史と文化のつながり

「8日」の読み方が「ようか」であることは、単なる暗記事項ではなく、日本語の歴史・文化・人々の生活が凝縮された言語の証拠でもあります。やまとことばの数え方は、農業社会において月の満ち欠けや農作業のサイクルに合わせて日数を管理するために発達したと考えられています。

「ようか」という音の響き自体も、日本語の柔らかな音韻の特徴を体現しています。漢語的な「はちにち」よりも、和語の「ようか」のほうが日本語として耳になじむのは、長い歴史の中で使われ続けてきた言葉だからこそです。

現代では、デジタル化やグローバル化が進む中でも、日付の和語読みは日本語教育の場でしっかりと受け継がれています。「ようか」という一言の中に、日本語のルーツが息づいていると思うと、言葉を使うことの奥深さを改めて感じられるのではないでしょうか。

日本語には、「ようか」のように一見不規則に見えて実は深い歴史的背景を持つ表現が数多く存在します。日付の読み方をきっかけに、やまとことばや日本語の成り立ちに興味を持っていただけたなら、この記事はその第一歩となるでしょう。