「お雑煮/ざつに」を「おぞうに」と読む理由!「ぞう」と読むようになった経緯

「お雑煮」を見て、「ざつに」と読んでしまいう人、けっこう多いみたいです。でも一般的な読みは「おぞうに」。これは、「雑」という漢字に「ざつ」だけでなく「ぞう」という音読みもあること、そして「雑煮」という語が決まった料理名として定着したことが理由です。

この記事では、お雑煮の歴史的背景をふまえつつ、「雑煮(ざつに)」がなぜ「ぞうに」と読まれるのかの経緯、ほかに「雑」を「ぞう」と読む例、さらに「雑に煮るの?」という素朴な疑問まで、わかりやすくまとめていきます!

「お雑煮/ざつに」はなぜ「おぞうに」?料理名としての慣用読み

まず結論から言うと、「お雑煮」は「おぞうに」と読まれるのが原則。「ざつに」と読むと、漢字の並びとしては成り立ちそうでも、一般的には料理名として通じにくい読み方になります。

日本語には、熟語の中で漢字の読みが決まっている言葉が多くあります。たとえば「重箱(じゅうばこ)」「相撲(すもう)」のように、見た目から機械的に読めそうでも、実際は慣用的な読みが広く使われているケースです。お雑煮も同じで、「新年に食べる餅入りの汁物」という文化的な背景ごと語も定着し、読みも「おぞうに」として定着しました。

ちなみに「お」は丁寧さを添える接頭語なので、「雑煮」だけなら「ぞうに」、「お雑煮」なら「おぞうに」となるのが自然です。

「雑(ざつ)」が「ぞう」になるのはなぜ?音読みが複数ある漢字

「雑」は、音読みとして「ざつ」と「ぞう」の2つが併存する漢字です。漢字の音読みは、古い時代に中国語の発音を取り入れたものが元になっていますが、伝わった時期や地域、発音の違いによって同じ漢字でも複数の音読みが残ることがあります。

とくに末尾の音が変化しやすい漢字では、同じ由来でも日本語に入ってくる過程で「ざつ」系になったり「ぞう」系になったりすることがあります。「雑」の場合も、外来音(中国語音)の取り込み方の違いが重なって、結果として熟語によって「ざつ/ぞう」を使い分ける形が定着しました。

要するに「ぞう」は当てずっぽうな読みではなく、「雑」が本来持っている読みの一つ。だから「雑煮(ぞうに)」も、漢字の読みとしてちゃんと筋が通っています。

「雑」を「ぞう」と読む言葉は他にもある?代表例と「ざつ」との使い分け

「雑=ざつ」のイメージは強いですが、実は「ぞう」と読む熟語もいくつかあります。ポイントは、ぞう読みは決まった語として定着しているものが多いことです。

「雑(ぞう)」の代表例

表記読み意味のイメージ
雑煮ぞうにいろいろな具を入れた餅の汁物
雑炊ぞうすい具材を混ぜたおかゆ・米の煮込み
雑木ぞうきまとまった種類ではない木々
雑木林ぞうきばやしいろいろな木が混じる林
雑兵ぞうひょう身分の高くない兵、寄せ集めの兵

一方で「雑音(ざつおん)」「雑誌(ざっし)」「雑用(ざつよう)」など、現代の日常語は「ざつ」系のほうが数としては多めです。つまり「ぞう」は珍読というより、特定の語に残った読みと考えると理解しやすいでしょう。

お雑煮の歴史的背景:なぜ正月に食べる?どこから広まった?

そもそもお雑煮は、単なる「餅入りスープ」ではなく、年神様(としがみさま)を迎える正月行事と結びついた料理として語られます。鏡餅やお供えの文化があるように、餅はハレ(特別)の食べ物で、新年の節目に食べる意味合いが強い食材でした。

広まり方のイメージ(ざっくり)

  • 儀礼・祝いの場で、餅や汁物がめでたい食として扱われる
  • 家ごとに手に入る具材が違い、自然に地域差・家差が生まれる
  • やがて「正月に食べる餅の汁物」が「雑煮」という名前で呼ばれ、定着していく

お雑煮が面白いのは、「これが正解!」が一つではないところです。澄まし仕立て・味噌仕立て、丸餅・角餅、焼く・煮るなど、土地の食文化と結びついて各地の正月がそのまま器に入っているような料理だと言えます。

名前が「雑」だからこそ、型が一つに決まりきらず、土地の食文化を受け入れてきたとも言えます。読みが「おぞうに」と決まっている一方で、中身は自由度が高い。そこが、お雑煮のいちばん楽しいところです。“同じ言葉で、違う正月が語れる料理”として覚えておくと、話のネタにもなります。

「雑に煮る」って本当?「雑煮」の「雑」は「雑多・とりまぜ」の意味

「雑煮」という字面だけ見ると、「雑(ざつ)に煮る=適当に煮る?」と感じるかもしれません。でも、ここでの「雑」は「いいかげん」の意味ではなく「いろいろ混じる」というニュアンスです。

つまり「雑煮」は「雑多な具を煮合わせたもの」「家にあるものを取り混ぜて作る煮物・汁物」といった発想に近い言葉。実際、正月は保存の効く食材や縁起物を使うことが多く、具材が自然と増えやすい時期でもあります。

丁寧にだしを取り、具材の切り方や火入れにも気を配る家庭も多いので、「雑に煮る料理」というより混ぜ合わせる種類が多い料理と捉えるとよいでしょう。