「木の下に工(エ)」と書く漢字は「杢」です。ぱっと見は「木工(もっこう)」っぽい形ですが、実際に“大工・木工職人”を表す、ちょっと珍しい漢字として知られています。
また「杢(もく)」は、木材の美しい模様を指す「杢目(もくめ)」や、衣類の「杢グレー」のように“混ざった色味”を表す言葉にもつながるのが面白いところ。本記事では、読み方・基本情報・苗字や用語までまとめて確認できます。
もくじ
木の下に工(エ)「杢」の漢字の意味とは?
「杢」は、ひとことで言うと「大工(だいく)・木工(もっこう)の職人」を表す漢字です。木造の家を建てたり修理したり、木を加工して道具や建具を作るような“木の仕事”に関わる意味合いで使われます。
形からイメージしやすい通り、「木」+「工(たくみ)」=木を巧みに扱う人、というニュアンスがストレートに出ています。日常ではあまり見かけませんが、苗字や地名で出会うことがあります。
「杢」が言葉として使われる場面
漢字の意味(大工)とは別に、「杢(もく)」は木材の模様(杢目)や、衣類の“霜降り・メランジ調”の杢柄(もくがら)など、質感を表す言葉としても使われます。文脈で「職人」なのか「模様」なのかを見分けるのがコツです。
木の下に工(エ)「杢」|部首・画数・常用漢字(漢検目安)など基本情報
「杢」は部首が木へん(木部)で、総画数は7画の漢字です。分類としては日本で作られた国字にあたり、一般的には常用漢字ではない“表外”の扱いになります。
学習目安としては、漢検では準1級レベルとして紹介されることが多い漢字です。パソコンやスマホでも比較的表示しやすい(JIS水準に入っている)点も、名前・地名で残っている理由の一つです。
基本データ(目安)
| 漢字 | 杢 |
|---|---|
| 部首 | 木(き・きへん) |
| 画数 | 7画(木4+3) |
| 主な意味 | 大工/木工の職人 |
| 種別 | 国字 |
| 漢検の目安 | 準1級 |
| 文字コード例 | Unicode:U+6762 |
木の下に工(エ)「杢」の漢字読み方|音読み
結論から言うと、「杢」には一般的な音読みがありません。国字(日本で作られた漢字)には、中国音(音読み)を持たないタイプがあり、「杢」もその代表格です。
辞典によっては「音読み:―」のように空欄になっていたり、そもそも音読み欄が設けられていないこともあります。読みに迷ったら、まず訓読みの「もく」を押さえるのが近道です。
- 音読み:なし(載らない/空欄扱いが多い)
木の下に工(エ)「杢」の漢字読み方|訓読み
「杢」の基本の読み方は、訓読みで「もく」です。意味は前述の通り大工・木工職人で、苗字・地名・用語でも「もく」と読む例が見られます。
また、辞典によっては難読として「むく」という読みが挙げられる場合もあります。これは地名や固有名詞で出会う可能性があるので、「もく」だけでなく“例外読み”として覚えておくと安心です。
読み方まとめ
- 訓読み:もく
- 難読・固有名詞の読み:むく(例として挙げられることがある)
「杢」の成り立ち(字源)|木+工(エ)でなぜこの意味になる?
「杢」は、構成を見たまま「木」+「工」の組み合わせです。一般に会意(かいい)と説明され、「木を工(たくみ)に扱う=木工の職人」→大工という意味につながります。
ポイントは「工」が“工作・技巧”のイメージを強く持つこと。木材を切る・削る・組む・建てるといった作業は、まさに“工”の世界なので、形と意味が一致しやすい漢字と言えます。国字らしい分かりやすさが魅力ですね。
- 覚え方:「木の仕事をする“工(たくみ)”=杢(もく)」
木の下に工(エ)「杢」が使われる苗字と読み方
「杢」は苗字にも使われ、読みは「もく」系が中心です。出現頻度は高くないものの、いくつかのパターン(もくた/もくだ、もくもと等)が確認できます。
同じ表記でも読みが複数ある場合があるため、名簿や書類ではふりがな確認が安全です。特に「杢田」はもくた/もくだの両方が挙がることがあります。
「杢」を含む苗字例
| 苗字 | 読み方 |
|---|---|
| 杢 | もく |
| 杢田 | もくた/もくだ |
| 杢野 | もくの |
| 杢本 | もくもと |
| 高杢 | たかもく |
| 杢師 | もくし |
| 杢代 | もくだい |
木の下に工(エ)「杢」を使う熟語・言葉と読み方
「杢」は漢字単体だと“職人”の意味ですが、実際の用語では木目の模様や布の色味に関する言葉として登場することが多いです。ここでは見かけやすい語を、分野別にまとめます。
「木工」そのものは普通は「木工(もっこう)」と書きますが、質感を表す杢目(もくめ)や、ファッションの杢柄(もくがら)は「杢」がそのまま使われます。
木材・工芸で見かける言葉
- 杢目(もくめ):柾目・板目とは異なる複雑で美しい木の模様
- 縮杢(ちぢみもく):細かく縮れたように見える杢目の一種
- 鳥眼杢(ちょうがんもく):鳥の目のような斑点状の杢目
ファッション・繊維で見かける言葉
- 杢糸(もくいと):異なる色の糸を撚り合わせた糸(霜降り調の表現に使う)
- 杢柄(もくがら):木目のような混ざり色(メランジ調)に見える生地・柄
- 杢グレー(もくぐれー):濃淡が混ざったグレー(いわゆる“ヘザーグレー”系)
木の下に工(エ)「杢」を含む地名・用語と読み方
「杢」は地名にも残っていて、読みは「もく」系が中心です。地名は一度定着すると表記が長く残りやすいので、常用外の字でも目にする機会があります。
特に「杢師(もくし)」のように、職能(木工に関わる人)を連想させる地名は由来としても納得感があります。地名では長い読み(○○ちょうもくしょ等)になることもあるので、初見では音で覚えるのが早いです。
「杢」を含む地名例
| 地名 | 読み方 | 補足 |
|---|---|---|
| 杢師 | もくし | 千葉県君津市の地名として見られる |
| 宇和町杢所 | うわちょうもくしょ | 愛媛県西予市の地名として見られる |
| 豊里町杢沢 | とよさとちょうもくさわ | 「杢(もく)」が読みに入る地名例 |
| 豊田町杢路子 | とよたちょうむくろうじ | 「むく」系の読みが出る例として挙げられる |

