「木へんに力」で朸(ろく)と書く漢字は、日常ではほとんど見かけない“レア漢字”です。
意味は大きく「木目(年輪)」と、古語で「おうご(天秤棒)」の2系統。読み方も複数あるので、辞書っぽくスッキリ整理していきます。
もくじ
木へんに力「朸」の漢字の意味とは?
「朸」は、意味が2つに分かれるのがポイントです。まずひとつは木目(もくめ)、つまり木材の模様や年輪を指す意味。
もうひとつは国字的な用法としてのおうご(天秤棒)で、荷物を担ぐ棒(にない棒)を表します。辞書では「おうこ」とも読む扱いがあり、古語として出てくることが多めです。
意味①:木目・年輪
木材の表面に現れる模様=木目、または年輪の筋を指す意味で使われます。見た目のイメージがつかみやすいので、意味の理解はここがいちばん覚えやすいところです。
意味②:おうご(天秤棒)
物を担ぐための棒(てんびん棒)を指します。棒の両端に荷物をかけて運ぶ道具で、古い文献や和歌の解説などで語として登場します。
木へんに力「朸」|部首・画数・常用漢字(漢検目安)など基本情報
「朸」は木偏の漢字で、画数が少ないわりに“表外”の扱いになりやすい字です。ざっくり基本情報を表で整理します。
| 漢字 | 朸 |
|---|---|
| 部首 | 木(きへん) |
| 画数 | 6画 |
| 音読み | リョク/ロク/リキ |
| 訓読み | もくめ/おうご |
| 漢検の目安 | 1級 |
| 文字コード | Unicode:U+6738 |
また、一般的には常用漢字ではありません。名付け用途でも「名前に使えない漢字」として扱われるケースが多いので、戸籍名などに使う想定がある場合は注意が必要です。
木へんに力「朸」の漢字読み方|音読み
音読みは主に3つです。読みは多いですが、実際には熟語で見かける機会が少ないため、“知識として押さえる”タイプの漢字です。
- リョク
- ロク
- リキ
「力」が音を表す要素(つくり)になっているため、リョク/リキ系の音につながると考えると覚えやすいです。とはいえ、音読みでの使用例は多くないので、まずは読みの存在を知っておくのが実用的です。
木へんに力「朸」の漢字読み方|訓読み
訓読みは「もくめ」「おうご」が代表です。どちらも意味とセットで覚えると混乱しにくいです。
- もくめ:木目、年輪の筋を表す
- おうご:天秤棒(にない棒)を表す
なお、「おうご」は辞書によって「おうこ」とも示されます。さらに古語では表記ゆれや掛詞(言葉遊び)としての扱いもあるため、読み方は文脈で判断するのがコツです。
「朸」の成り立ち(字源)|木+力(ちから)でなぜこの意味になる?
「朸」は、基本的に形声(けいせい)文字として説明されます。左の「木」が意味のカテゴリを示し、右の「力」が音(読み)を示す、という構造です。
意味のイメージとしては、「木の道具」+「力」なので、荷物を運ぶ天秤棒(おうご)の用法が直感に合います。木の棒を使って重い物を担ぐ=“力が要る道具”という連想ですね。
一方で「木目・年輪」の意味は、木材そのものの性質(木の表情)に注目した用法です。どちらも木に関わる概念として整理しておくと覚えやすいです。
木へんに力「朸」が使われる苗字と読み方
結論から言うと、「朸」そのものが入る苗字はかなり珍しい(実質ほぼ見ない)部類です。名字データベース系の解説では「朸が含まれる名字はない」とされることもあります。
ただし関連字として「㭷(=『朸』の意)」が“姓に用いる字”として紹介されており、こちらでは「おうこ/おうご/おおこ/おこ」などの読みが挙げられています。
つまり、実務的には「朸」単体の名字はレア、出会うとしたら異体字・類似字を含むケースが多い――という理解が現実的です。
木へんに力「朸」を使う熟語・言葉と読み方
「朸」は、いわゆる一般的な熟語(四字熟語や日常語の複合語)で固定メンバーになりにくい漢字です。なのでこの章は「言葉(単語)」として押さえるのがコツ。
代表的な言葉
- 朸(おうご/おうこ):物を担ぐ棒(てんびん棒)
- 朸(もくめ):木目・年輪
古典系では「おうご」が和歌で掛詞として使われる、という説明が付くこともあります。熟語を探すより、まずは単語としての意味・読みを押さえるのがいちばん実用的です。
木へんに力「朸」を含む地名・用語と読み方
「朸」は人名よりも、むしろ“地名の一部”として見かけることがあります。代表例として朸田(おおこだ)が挙げられます。
- 朸田(おおこだ):山口県の地名として確認される
また、見た目が似ている別字との混同にも注意です。たとえば「朷迫」という地名表記が「朸迫」の誤記(登記上は朸迫)とされるケースが紹介されています。
さらに、関連字の「㭷」を含む地名として「㭷橋」などが挙げられることもあります。レア字は異体字・誤記・代用表記が絡みやすいので、検索するときは複数表記で探すのがコツです。

