木へんに母と書く「栂(つが/とが)」は、樹木の名前として使われる漢字です。
日常で頻出ではないものの、地名(栂池など)や苗字(栂野・栂尾など)で見かけることがあり、読めると一気に“漢字強者感”が出ます。
この記事では「栂」の意味・読み方から、由来(成り立ち)、苗字、熟語、地名までまとめて辞典風にわかりやすく整理します。
もくじ
木へんに母「栂」の漢字の意味とは?
「栂」は、植物の「ツガ(とが)」を表す漢字で、主にマツ科の常緑高木を指します。
ツガは山地に生える針葉樹で、庭木としてよりは、山林・神社の境内木などで見かけるタイプ。材としても利用されるため、木材の文脈でも「栂(ツガ)」の語が出てきます。
また「栂」は日本で作られた国字とされ、漢字としての“出自”も少し特殊です。読み方は「つが」「とが」が中心で、意味も基本的に樹木名(ツガ)にまとまります。
木へんに母「栂」|部首・画数・常用漢字(漢検目安)など基本情報
「栂」の部首は木(きへん)で、木に関する字形だと一目でわかります。
総画数は9画。JIS第1水準にも入っており、PCやスマホでも比較的表示しやすい漢字です。
ただし常用漢字ではありません。漢検の目安としては準1級レベルで、読めても書けない人が多いタイプです。
「栂」の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 漢字 | 栂 |
| 部首 | 木部(き・きへん) |
| 画数 | 9画 |
| 読み | (主に)つが/とが |
| 分類 | 国字 |
| 漢検目安 | 準1級 |
| 常用漢字 | 常用漢字ではない |
| Unicode | U+6802 |
補足として、「栂」は人名用漢字ではない扱いの情報も多く、名付けで使える字かどうかは用途次第で要確認です。
木へんに母「栂」の漢字読み方|音読み
結論から言うと、「栂」は原則として音読みが定着していません。理由はシンプルで、「栂」が国字(日本で作られた漢字)だからです。
そのため、辞書によっては音読み欄が「—」になっていることもあります。実際の運用では、地名・苗字・用語を訓読み(つが/とが)で読むケースがほとんどです。
一方で、資料系の漢字辞典では便宜的に音「バイ」を載せる例もありますが、一般の会話・文章で「栂=バイ」と読む場面はかなり稀です。
音読みの扱い(目安)
- 基本:音読みなし(または定着していない)
- 辞書によって:音「バイ」が載る場合がある
- 実用:地名・苗字はつが/とが読みが中心
木へんに母「栂」の漢字読み方|訓読み
「栂」の訓読みは、基本的に「つが」と「とが」の2つです。どちらも木の名前(ツガ)としての読みになります。
「つが」は樹木名としての標準的な読みとして、辞書・地名でよく出ます。例えば「栂池(つがいけ)」のように、観光地名でも見かけます。
「とが」は「ツガ」の別名として扱われることがあり、京都の「栂尾(とがのお)」のように、古い地名・固有名詞の読みで定着している例が代表的です。
訓読みの使い分けイメージ
- つが:樹木名として/「栂池」などの地名で多い
- とが:別名・古い固有名詞で見かける(例:栂尾)
「栂」の成り立ち(字源)|木+母でなぜこの意味になる?
「栂」は会意文字とされ、「木」+「母」の組み合わせで成り立つと説明されます。
ポイントは「母」のニュアンスで、辞典では“工作・建築用材の母体となる木”という捉え方が紹介されています。つまり、ただの樹木名というより、暮らし(材木)に関わる“中心になる木”のイメージが重なっているわけです。
そして「栂」は国字なので、中国由来の漢字とは違い、日本の生活圏で必要になった木の名前を漢字に当てはめた側面が強い――という理解をすると、字源の説明がスッと入ります。
木へんに母「栂」が使われる苗字と読み方
「栂」を含む苗字は実在し、読み方は「とが」か「つが」系が中心です。単独の苗字「栂(とが/つが)」もあります。
また、複合姓では「栂野(とがの)」「栂尾(とがお/とがのお)」のように、地名由来っぽい形で残っているものが多め。読みが複数ある姓もあるので、名簿で見かけたら注意です。
「栂」を含む苗字の例
| 苗字 | 読み方(例) | メモ |
|---|---|---|
| 栂 | とが/つが | 単独姓として存在 |
| 栂野 | とがの | 比較的見かける部類 |
| 栂尾 | とがお/とがのお/つがお | 読みの揺れがある |
| 栂谷 | とがたに/つがや | 地域差で読みが分かれることも |
苗字は家ごとに読みが固定されているので、最終的には本人確認が確実です(同じ表記でも読みが違うことがあります)。
木へんに母「栂」を使う熟語・言葉と読み方
「栂」を含む言葉は、植物名・木材名としての用語が中心です。なかでも「米栂(べいつが)」は建材の世界でよく出てきます。
また「栂椹(とがさわら)」のように、別の樹木名に「栂」が入っている例も。辞書で見かけたら「木の種類だな」と当たりをつけると理解が早いです。
ここでは、実際に使われることが多い語を読み方つきでまとめます。
「栂」を含む熟語・用語
| 言葉 | 読み方 | 意味の目安 |
|---|---|---|
| 栂 | つが/とが | ツガ(マツ科の常緑針葉樹) |
| 米栂 | べいつが | 北米産ツガ類(建材名として流通) |
| 栂椹 | とがさわら | 樹木名(トガサワラ) |
| 黒栂 | くろつが | 「米栂」の異名とされる |
| 紅栂 | べにつが | 「米栂」の別称とされる |
| 栂材(ツガ材) | つがざい | ツガの木材(建築材など) |
「米栂」は文脈次第で木材名としての“ベイツガ”を指すことが多いので、DIY・建材記事では特にこの読みが押さえどころです。
木へんに母「栂」を含む地名・用語と読み方
「栂」は地名・観光地名にもよく出ます。代表が長野の「栂池(つがいけ)」で、そこから派生して栂池高原(つがいけこうげん)、栂池自然園(つがいけしぜんえん)などが定着しています。
また京都の景勝地として知られる「栂尾(とがのお)」も有名で、「高尾・槇尾」と合わせて“三尾”として語られることがあります。
固有名詞は読みが固定されがちなので、見かけたらそのまま丸暗記がいちばん早いです。
「栂」を含む地名・施設名の例
- 栂池(つがいけ)
- 栂池高原(つがいけこうげん)
- 栂池自然園(つがいけしぜんえん)
- 栂尾(とがのお)(京都の地名・景勝地)
地名の「栂」は、木の名前としての「ツガ」に由来するケースが多く、周辺の自然(植生)とセットで覚えると忘れにくいです。
