木へんに久しい「杦」の読み方・苗字や熟語【漢字辞典】

「木へんに久しい」で書く「杦」は、ぱっと見は難しそうですが、意味はかなりシンプルで「杉(すぎ)」と同じ扱いになる漢字です。

ただし「杦」はJIS第3水準のいわゆる環境依存寄りの文字なので、端末やフォントによって表示が崩れたり、入力しにくかったりする点が要注意。

この記事では、木へんに久しい「杦」の意味・読み方、成り立ち、苗字や言葉、地名・用語まで、漢字辞典スタイルでまとめます。

木へんに久しい「杦」の漢字の意味とは?

木へんに久しい「」の意味は、基本的に「すぎ(杉)」です。つまりスギ科の樹木を指し、漢字としては「杉」と同じ意味で扱われます。

実際に辞典でも「杦=すぎ」と説明され、「杉」の異体字として扱われることがある、という補足が付くこともあります。日常文で「杦」を使う場面は多くありませんが、人名(苗字)や古い資料の表記で出会うケースがあります。

見た目のインパクトに反して、意味は「杉」に集約されるので、まずは「杦=杉(すぎ)」で覚えるとスムーズです。

意味の要点

  • 杦(すぎ):スギ科の樹木(=「杉」と同義)
  • 杉の異体字として扱われることがある
  • 用例は苗字・古文書・地名表記などに寄りがち

木へんに久しい「杦」|部首・画数・常用漢字(漢検目安)など基本情報

」は部首が木(きへん)で、総画数は7画です。常用漢字ではなく、漢検の目安は配当外として案内されるのが一般的です。

文字コード面では、「杦」はUnicode:U+6766。JIS漢字水準では第3水準に分類されます。そのため、システムやフォント次第で字形が変わる/表示できないなどのトラブルが起きることもあります。

名簿や住所録など、正確性が必要な場面では、「杦」表記のまま扱うのか、「杉」に置き換えるのかを運用で決めておくと安心です。

基本情報(一覧)

漢字
部首(きへん)
総画数7画
常用漢字常用外
漢検目安配当外
UnicodeU+6766
JIS水準第3水準
備考国字として紹介される例あり/環境で字形差が出ることがある

木へんに久しい「杦」の漢字読み方|音読み

」は、辞典では音読みが付かない(または省略される)ことが多い漢字です。実用上も、音読みで読んで熟語を作るタイプではありません。

理由としては、「杦」が「杉」のくずし字(崩し字)を楷書化した形、つまり“表記のバリエーション(異体字)”として扱われる説明があるためです。音読み運用よりも、訓読み「すぎ」での扱いが中心になります。

したがって、読みで迷ったら「杦=すぎ」と判断するのがいちばん安全です。無理に音読みを探さないのがコツです。

音読みのまとめ

  • 基本:音読みなし(または扱いなし)
  • 運用は訓読み「すぎ」が中心
  • 熟語(音読み語)での登場はほぼしない

木へんに久しい「杦」の漢字読み方|訓読み

訓読みは「すぎ」です。意味も読みも、基本的に「杉」と同じで、樹木のスギを表します。

文章では「杉」が一般的なので、「杦」は見慣れないかもしれませんが、苗字(例:杦本・杦山・杦谷)など固有名詞の中で出てくることがあります。その場合も読みはすぎを軸に組み立てればOKです。

入力が難しいときは、手書き入力や文字コード確認(U+6766)で探すと見つけやすいです。

訓読み

  • すぎ

「杦」の成り立ち(字源)|木+久でなぜこの意味になる?

」は、字源の説明として「杉」の崩し字(くずし字)を楷書化した形とされることがあります。つまり“木+久”の意味合成というより、「杉」という字の書き方が変化して生まれた形、という理解が近いです。

このため、辞典によっては「杦」を国字として紹介しつつも、実質的には「杉」の異体字(同じ字扱い)と説明することがあります。「旧字体」と断定するより、表記の揺れ(別字・異体字)として押さえるとズレにくいです。

まとめると、成り立ちは「杉」からの派生、意味は「杉(すぎ)」に一致、という整理がいちばんわかりやすいです。

成り立ちのポイント

  • 「杉」の崩し字→楷書化という説明がある
  • 木+久で意味を作ったというより、字形の変化で生まれた形
  • 結果として「杉」と同義(異体字扱い)になりやすい

木へんに久しい「杦」が使われる苗字と読み方

」は苗字としても使われ、単独の「杦(すぎ)」が確認できます。また「杉」と同じ読みのまま、字だけが「杦」になっている複合苗字も見られます。

代表例として、杦本(すぎもと)杦山(すぎやま)杦谷(すぎたに)など。ほかにも杦浦(すぎうら)杦原(すぎはら)のように「すぎ+地形語」で構成される名字があります。

ただし「杦」は環境依存になりやすいので、名刺や登録フォームでは「杉」に置き換えられているケースもあります。本人表記を優先するなら、漢字の指定(杦)と併せて管理するのがおすすめです。

「杦」を含む苗字(例)

苗字読み方メモ
すぎ単独姓(珍しめ)
杦本すぎもと「杉本」と表記ゆれが起きやすい
杦山すぎやま「杉山」と同音
杦谷すぎたに「杉谷」と同音
杦浦すぎうら「杉浦」と同音
杦原すぎはら「杉原」「椙原」などとも混同されやすい

木へんに久しい「杦」を使う熟語・言葉と読み方

」は、いわゆる一般的な二字熟語(漢語)が豊富な漢字ではありません。辞典系のまとめでも「熟語は特になし」とされる例があり、実用上は熟語より固有名詞で見かけることが多いです。

とはいえ「言葉」としては、苗字や古い表記の中で「杦」が使われます。たとえば「杦原(すぎはら)」のように、地形語(原・谷・山・浦など)と結びつく形が典型です。読みは基本「すぎ+後ろの語」で組み立てられます。

日常文では「杉」を使うのが一般的なので、「杦」は“表記のこだわり/旧表記が残った形”として登場しやすい、と覚えておくとしっくりきます。

「杦」を含む言葉(例)

  • 杦原(すぎはら)
  • 杦谷(すぎたに)
  • 杦山(すぎやま)
  • 杦浦(すぎうら)

木へんに久しい「杦」を含む地名・用語と読み方

」は、現代の地名では「杉」表記が主流ですが、資料や旧地名では「杦」を使った表記が見つかります。代表例が「杦並村」で、現在の杉並(すぎなみ)にあたる地域名として、地図目録に「東京府豊多摩郡杦並村」の記載が確認できます。

また、伊能図の旧地名リストでは、神奈川県の項目に「国分寺村杦木本(こくぶむらすぎもと)」のような表記が見られます。こうした例からも、「杦」は“杉の別表記”として、地名・村名の中で使われてきたことがわかります。

用語としては、文字コード面の扱いが重要です。「杦」はJIS第3水準で、環境によって表示差が出るため、地名データや住所録では表記ゆれ対策(別字登録・注記など)をしておくとトラブルを減らせます。

地名・用語の例

  • 杦並(すぎなみ):旧表記として見られる(現「杉並」)
  • 杦木本(すぎもと):旧地名リストに見られる例