「木へんに比べる」と書く「枇」は、果物の「枇杷(びわ)」でおなじみの漢字です。
単体で使われることは少なめですが、漢字辞典では「びわ」のほかに「木のさじ」「細かい歯のくし」といった意味も載っています。
この記事では「枇」の意味・読み方・成り立ちから、苗字・熟語・地名まで、漢字辞典の形式でまとめて解説します。
もくじ
木へんに比べる「枇」の漢字の意味とは?
「枇」の中心は、果樹の「枇杷(びわ)」に使われる字、という点です。漢字辞典でも「枇杷(ビワ)」の説明がまず出てくることが多いです。
一方で「枇」には、木で作った「さじ」、歯の細かい「くし」という意味もあります。どちらも「木へん」が付くとおり、木製の道具を連想すると理解しやすいです。
また補足として、古い資料では楽器の「びわ(琵琶)」を「枇杷」と書く説明が載ることもあります。文脈が「果物」なのか「道具」なのかで、意味の当たりを付けるのがコツです。
木へんに比べる「枇」|部首・画数・常用漢字(漢検目安)など基本情報
「枇」は木部(きへん)の漢字で、総画数は8画です。見た目はシンプルですが、学習漢字・常用漢字ではなく、扱いとしては人名用漢字に入ります。
そのため一般文での出番は多くない一方、名前に使われる可能性はあります。漢検の目安は準1級に置かれることが多いです。
「枇」の基本データ
| 漢字 | 枇 |
|---|---|
| 部首 | 木部(き・きへん) |
| 総画数 | 8画 |
| 常用漢字 | 常用漢字ではない(人名用漢字) |
| 漢検目安 | 準1級 |
| Unicode | U+6787 |
木へんに比べる「枇」の漢字読み方|音読み
「枇」の音読みは「ヒ」と「ビ」が基本です。辞典によっては表記の揺れがありますが、まずはこの2つを押さえると十分です。
ただし「枇」は、音読みで単独使用するより、熟語の中で意味がまとまるタイプでもありません。むしろ実用上は「枇杷(びわ)」として読む場面が圧倒的に多いでしょう。
音読みで迷ったときは、「これは果物の話?それとも木の道具の話?」と文脈を見て、読みを当てに行くのがコツです。
音読みの目安
- ヒ:辞典で基本として載る音
- ビ:辞典で併記されやすい音
木へんに比べる「枇」の漢字読み方|訓読み
訓読みとしてよく挙げられるのは「さじ」と「くし」です。どちらも木製の道具を指す意味につながります。
また、字としての読み(字訓)として「びわ」が載ることもあります。これは「枇杷(びわ)」での定着が強いためで、「枇」を見た瞬間に“びわの字”として認識されやすいからです。
現代の文章では、単独で「枇(さじ/くし)」と書く例は多くないので、まずは「枇杷(びわ)」を思い浮かべ、必要に応じて訓の意味へ広げると理解が早いです。
訓読み・字訓の整理
- さじ:木のさじ(祭祀用などの説明が付く辞典も)
- くし:歯の細かい木ぐし
- びわ:語として「枇杷(びわ)」で定着(字訓として載ることがある)
「枇」の成り立ち(字源)|木+比でなぜこの意味になる?
「枇」は形声文字で、左の「木」が意味(木・木製のもの)を表し、右の「比」が音(ヒ)を表す、と説明されます。
木が付くことで、木製の道具(さじ・くし)や、木の名(枇杷)のように「木に関係するカテゴリ」へ意味が寄っていきます。
「枇杷(びわ)」の表記は、果樹としての「びわ」に固定されている一方で、古い資料では楽器の「びわ(琵琶)」を「枇杷」と書く説明が出ることもあります。ここは混同しやすいので、現代では果物=枇杷/楽器=琵琶と分けて覚えるのが無難です。
木へんに比べる「枇」が使われる苗字と読み方
「枇」は使用頻度が高い字ではないため、苗字としてもかなり珍しい部類です。ただし、辞典系データベースでは「枇」を含む苗字がいくつか掲載されています。
読みは「ヒ/ビ」を含むもの、あるいは「枇杷(びわ)」に寄せた読みが見られます。苗字は家ごとに読みが固定されるので、名簿で見かけたらルビ・公式表記を最優先にしてください。
「枇」を含む苗字(例)
| 苗字 | 読み方(例) | ポイント |
|---|---|---|
| 小枇 | おび | レア苗字の代表例 |
| 枇々木 | ひびき | 「枇」が連なる表記 |
| 枇本 | ひもと/びもと | 読みが複数載る例 |
| 枇榔 | ひろう/びろう | 読み分けが出やすい |
| 枇杷木 | ひわき/びわき | 「枇杷」系の表記 |
| 枇杷 | びわ | 語の読みがそのまま苗字に |
木へんに比べる「枇」を使う熟語・言葉と読み方
結論から言うと、「枇」は単独の熟語が多いタイプではなく、ほぼ「枇杷(びわ)」で覚えるのが近道です。
そのうえで、生活語として派生する言葉(枇杷の葉、枇杷茶など)を押さえておくと、「枇」を見たときに意味がスムーズにつながります。
また「枇」自体にはさじ/くしの意味もあるため、辞典的には“木の道具”のニュアンスが背景にある、と理解しておくと応用が利きます。
「枇」を含む言葉(例)
- 枇杷(びわ):バラ科の常緑高木とその果実
- 枇杷の葉(びわのは):民間利用の文脈でも見かける
- 枇杷茶(びわちゃ):枇杷の葉を使うお茶として語られることがある
木へんに比べる「枇」を含む地名・用語と読み方
「枇」は地名では、ほぼ「枇杷(びわ)」の形で登場します。代表例として有名なのが「枇杷島(びわじま)」で、愛知県(名古屋市西区)などで地名として見かけます。
また、自治体の町名として「西枇杷島町〜」のように枝番が付く例もあり、地名の読みは基本的に「びわ」が核になります。
読み間違いを防ぐコツは、「枇」単体で考えず、枇杷=びわとして地名を丸ごと読むことです。
「枇」を含む地名(例)
| 地名 | 読み方 | メモ |
|---|---|---|
| 枇杷島 | びわじま | 地名として定着 |
| 西枇杷島町旭 | にしびわじまちょうあさひ | 町名の一例 |
| 枇杷野 | びわの(例) | 「枇杷」系の地名例 |

