木へんに丑「杻」の読み方・苗字や熟語【漢字辞典】

「杻(きへんに丑)」は、見た目のわりに意味が2つある“クセ強め”な漢字です。1つは樹木名(モチノキ)、もう1つは刑具の「手かせ」を指します。

ただし「杻」は常用漢字ではなく、環境によっては表示が崩れたり、入力・検索で出しにくいこともあります。この記事では、読み方・成り立ち・苗字や熟語、地名での使われ方まで、辞典的にまとめます。

木へんに丑「杻」の漢字の意味とは?

「杻」は大きく分けて、①樹木の名②刑具(手かせ)の2つの意味を持ちます。辞書では「もちの木(モチノキ科の常緑高木)」、または「手かせ(罪人の両手にはめ、自由を奪う拘束具)」として説明されるのが一般的です。

同じ字でも、文章のジャンルで意味が変わりやすい点がポイントです。植物・庭木の話なら「木の意味」、歴史・刑罰・仏典などの文脈なら「手かせの意味」で読むと、解釈がズレにくくなります。

  • 植物:もちの木(モチノキ)
  • 道具:手かせ(刑具)

木へんに丑「杻」|部首・画数・常用漢字(漢検目安)など基本情報

「杻」は部首が木(きへん)で、総画数は8画です。さらに、いわゆる常用漢字ではなく、漢字検定の目安では配当外として扱われることが多い漢字です。

また「杻」はJIS第3水準に含まれるため、環境によっては字形が違って見えたり、機種依存っぽく扱われるケースもあります。名簿や公的書類などでは、代替表記になることもあるので要注意です。

漢字
部首木部(き・きへん)
総画数8画
漢検目安配当外
JIS水準第3水準
UnicodeU+677B

木へんに丑「杻」の漢字読み方|音読み

音読みは「チュウ」、および「ジュウ」が代表です。辞書では「チュウ」が先に出ることも多く、歴史・古典寄りの語彙で見かける読み方になります。

音読みが活きる代表例が「杻械(ちゅうかい)」です。これは「手かせ(杻)と足かせ(械)」のことで、転じて「自由を奪われること」という比喩でも使われます。

  • チュウ:杻械(ちゅうかい)など
  • ジュウ:辞書上の音読みとして併記されることが多い

木へんに丑「杻」の漢字読み方|訓読み

訓読みは「もち」「てかせ」が基本です。ここが「杻」のややこしい所で、同じ漢字が“木”と“拘束具”の両方に読めます。

訓読み①:もち(植物名)

「もち」は、モチノキ科の常緑高木であるモチノキを指す読み方です。庭木や植栽の文脈で「杻」が出たら、まずこちらを疑うと安全です。

訓読み②:てかせ(刑具)

「てかせ」は、罪人の手にはめる刑具(手かせ)の意味です。古典や歴史文献では、同じ“てかせ”でも「手枷」「手械」など別字で書かれることもあるため、前後の文章で判断します。

「杻」の成り立ち(字源)|木+丑でなぜこの意味になる?

「杻」は形声文字で、意味を表す「木」に、音を表す「丑」が合わさった形だと説明されます。つまり「木」は“樹木”の意味領域を担当し、「丑」は読み(音)を担当するイメージです。

この作りだと、まず木の名(もちの木)が自然に説明できます。一方で「手かせ」の意味は、古い時代に“木製の拘束具”が一般的だったことから、木偏の字で刑具を表す用法が育った、と考えると流れがつかみやすいです(※辞書上は意味として併記されます)。

ポイントは、丑=うし(意味)ではなく、丑=音符(読みの手がかり)として働いている点です。

木へんに丑「杻」が使われる苗字と読み方

結論から言うと、日本の名字として「杻」単独を使う例はかなり稀です。理由のひとつが、先ほど触れた通りJIS第3水準で環境依存になりやすい点で、名寄せ・システム都合で別字に置き換わることもあります。

ただし、漢字としては「てがし(手かせ)」の連想や、地名・社名(後述)を由来に名字化する可能性はゼロではありません。もし家系や戸籍で見かけた場合は、①戸籍の字体②自治体の外字コード③読み仮名の公式表記の3点で確認するのが確実です。

豆知識:海外(中華圏)では姓として存在

日本の「苗字」文脈とは別ですが、中華圏では「杻」が姓(例:拼音 niǔ)として扱われる情報もあります。日本の名字データベースで出なくても、海外由来の表記として出会うケースはあり得ます。

木へんに丑「杻」を使う熟語・言葉と読み方

「杻」を含む熟語は多くありませんが、辞書に載る代表格が杻械(ちゅうかい)です。これは手かせ(杻)と足かせ(械)のことで、転じて「自由を奪われること」も意味します。

また古典の用例では、手かせを「手杻(かせ)」のように書く例が見られます。現代では「手枷」「手械」などの表記が一般的でも、資料によっては「杻」が出るので、読めるようにしておくと強いです。

  • 杻械(ちゅうかい):手かせと足かせ/転じて自由を奪われること
  • 手杻(かせ):手かせ(古典的表記として出ることがある)
  • 杻(ちゅう):刑具(手かせ・足かせ)の意で説明されることがある

木へんに丑「杻」を含む地名・用語と読み方

「杻」は地名・社名に入ると、読みがかなり固定されやすいのが特徴です。代表例が鳴海杻神社(なるみてがしじんじゃ)で、ここでは「杻」をてがしと読ませます。文化財データベースにも「鳴海杻神社」の名称で登録が確認できます。

例①:鳴海杻神社(なるみてがしじんじゃ)

愛知県犬山市の神社で、名称に「杻(てがし)」を用います。登録有形文化財としての情報も公開されており、読みも「なるみてがし…」で示されています。

例②:福島県福島市「沖高 さすノ目(杻ノ目)」

住所表記として「さすノ目」という読みが案内されており、資料によっては漢字で「杻ノ目(さすノ目)」のように書かれる例があります。地名は表記ゆれが起きやすいので、読みは行政・地図サービス側の表記を優先して確認するのがおすすめです。

  • 鳴海杻神社:なるみてがしじんじゃ
  • 杻ノ目:さすノ目(地名表記の一例)