「木へんに山」と書く「杣」は、日常ではあまり見かけないけど、苗字や言葉の中でしれっと登場する“知ってると強い”漢字です。
読み方は基本「そま」。意味は木材を切り出す山や、そこから切り出した木(材木)など、林業・山の暮らしと深い関わりがあります。
この記事では「杣」の意味・読み方・成り立ち、苗字、熟語、地名・用語まで、漢字辞典スタイルでまとめます。
もくじ
木へんに山「杣」の漢字の意味とは?
「杣」は、ひとことで言うと木材を切り出すための山(=杣山)を表す漢字です。山林のうち、建築材や用材を確保するために管理・伐採される場所、というニュアンスが強いのが特徴です。
また「杣」には、山から切り出した材木そのものを指す意味もあります。文脈によって「場所(山)」なのか「モノ(木)」なのかが変わるので、前後の言い回しで判断すると読み取りやすいです。
さらに「杣人(そまびと)」のように、木を切り出す人(きこり)を連想させる用語にもつながります。
木へんに山「杣」|部首・画数・常用漢字(漢検目安)など基本情報
「杣」は部首が木(きへん)、総画数は7画です。日本で作られた国字として扱われ、常用漢字ではない(いわゆる表外)ため、一般の文章ではレア枠になりがちです。
ただしJIS第2水準に入っているため、環境によっては比較的表示・入力はしやすい部類です(それでも機種・フォント差はあります)。
基本データ
| 漢字 | 杣 |
|---|---|
| 部首 | 木(き・きへん) |
| 総画数 | 7画 |
| 分類 | 国字 |
| 漢検の目安 | 1級 |
| JIS水準 | 第2水準 |
| Unicode | U+6763 |
名付け(子の名)で使える?の注意
「杣」は常用漢字ではないため、名付けで使えるかは別問題になります。サイトによって「名前に使えない」と案内される例もあるので、必要な場合は戸籍担当(役所)で確認するのが確実です。
木へんに山「杣」の漢字読み方|音読み
結論:音読みは基本ありません。 「杣」は国字のため、中国由来の音(音読み)を持たない扱いが一般的です。
漢字辞典でも「音読み:—」や、そもそも音読み欄が空欄の形で掲載されることが多く、読むときは訓読み(そま)で押さえるのが基本になります。
読みの整理
- 音読み:なし(空欄扱いが多い)
- 訓読み:そま
木へんに山「杣」の漢字読み方|訓読み
「杣」の訓読みは「そま」です。意味が林業寄りなので、単独で読むよりも、言葉の一部として出てくることが多いです。
代表例は杣山(そまやま)・杣木(そまぎ)・杣人(そまびと)。これらをセットで覚えると、「場所/木材/人」のどれを指しているのかが一気に分かりやすくなります。
よくある読み方(言葉の形)
- 杣(そま):木材を切り出す山/山から切り出した材木
- 杣山(そまやま):材木を切り出す山
- 杣木(そまぎ):杣山の木、または切り出した材木
- 杣人(そまびと):材木を切り出す人(きこり)
「杣」の成り立ち(字源)|木+山でなぜこの意味になる?
「杣」は「木」+「山」でできた、意味が直感的に分かりやすい国字です。辞典では「木の茂った山」「山の木(用材)」のイメージから作られた、と説明されます。
つまり、山にある木 → 用材として切り出す山 → そこから出た材木という連想で意味が広がったと捉えるとスムーズです。
覚え方のコツ
- 木+山=山の木(用材)
- 杣山=木を切り出す山
- 杣木=切り出した材木
木へんに山「杣」が使われる苗字と読み方
「杣」は苗字として実在し、読み方は基本「そま」です。由来説明では「木こり(杣)」に関係するとされることが多く、全国に分布しつつも珍しい部類に入ります。
また「杣」を含む苗字は複数あり、読み方が分かれるものもあります。名簿や取引先の氏名で出た場合は、推測せずふりがな確認が安心です。
「杣」を含む苗字例
| 苗字 | 読み方(例) |
|---|---|
| 杣 | そま |
| 寺杣 | てらそま |
| 杣田 | そまだ/そまた |
| 杣木 | そまき |
| 杣友 | そまとも |
| 杣取 | そまとり/そまどり |
木へんに山「杣」を使う熟語・言葉と読み方
「杣」は林業・山仕事の語彙として、熟語・言葉の形で残っています。現代でも辞書や歴史・民俗、地名の語感として見かけることがあります。
ここでは、出会いやすいものを中心に読み方と意味をまとめます(古語・方言寄りの語も含みます)。
「杣」を含む熟語・言葉
| 言葉 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| 杣山 | そまやま | 材木を切り出す山 |
| 杣木 | そまぎ | 杣山の木/切り出した材木 |
| 杣人 | そまびと | 材木を切り出す人(きこり) |
| 杣小屋 | そまごや | きこり小屋 |
| 杣川 | そまがわ | 材木を流し下す川 |
| 杣道 | そまみち | きこりが通る山道 |
| 杣夫 | そまふ | 林業労働者の旧称 |
| 杣出し | そまだし | 材木を杣山から伐り出すこと |
木へんに山「杣」を含む地名・用語と読み方
「杣」は地名要素としても使われ、読みは「そま」系が基本です。地名は一度定着すると古い語彙が残りやすいので、表外漢字でも地図・住所で見かけることがあります。
ただし地名の読みは地域で揺れやすく、「そま」「そまだ」「そまの」のように変化することもあります。見かけたら、自治体サイトや地図のルビを確認すると確実です。
地名っぽく出やすい形(パターン)
- 杣田(そまだ/そまた)
- 杣谷(そまたに/そまや 等、地域差あり)
- 杣野(そまの)
- 杣木谷(そまきだに など)
歴史用語としての「杣(そま)」
漢字の「杣」は、歴史分野では大規模建築の用材を確保する伐採地(山林)の意味で説明されることもあります。辞書・歴史文脈では、単なる“山の木”ではなく、管理された用材供給地として理解するとズレにくいです。

