「茗」という漢字は、草かんむりに「名」と書く、すっきりとした字形の漢字です。画数は少ないながらも、お茶の文化と深く結びついた、風雅な一字です。
「茗」は「お茶の葉・茶の木」を意味する漢字で、特に晩摘みの茶葉や、茶そのものを指す雅語として古くから用いられてきました。「茗荷(みょうが)」という身近な植物の名前にも使われており、日本人にとって意外と縁のある漢字でもあります。
本記事では、「茗」の基本情報から成り立ち、使われる苗字・熟語・地名まで、わかりやすく解説します。「茗」という漢字が持つ清雅な世界をぜひひもといてみてください。
もくじ
草かんむりに名「茗」の漢字意味とは?|部首・画数・常用漢字(漢検目安)など基本情報
茗
「茗」は、「茶の葉・茶の木」を意味する漢字です。特に遅い時期に摘んだ茶葉、あるいは茶そのものを指す雅語として、詩文や茶道の世界で用いられてきました。中国の茶文化に深く根ざした字であり、日本へはその文化とともに伝わりました。
また「茗」には「若い茶の芽」という意味もあるとされ、清らかで新鮮なイメージを持つ字でもあります。お茶を「茗」と表現することは一種の雅語的・詩的な言い回しであり、「一服の茗(いっぷくのめい)」のように格調ある文章表現の中で用いられることが多い字です。
基本情報をまとめると以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 部首 | 艸・艹(くさかんむり) |
| 総画数 | 9画 |
| 常用漢字 | 常用漢字外 |
| 漢検目安 | 準1級 |
| 人名用漢字 | 人名用漢字に含まれる(名前に使用可) |
| Unicode | U+8317 |
常用漢字ではありませんが、人名用漢字として認定されているため、子どもの名前に使用することができます。お茶の清らかなイメージと、風雅で上品な雰囲気から、名前に清潔感と品格を添える字として親しまれています。
草かんむりに名「茗」の漢字読み方|音読み
「茗」の音読みは「メイ(めい)」「ミョウ(みょう)」の二つです。「メイ」が漢音、「ミョウ」が呉音にあたります。中国語(普通話)では「míng(ミン)」と発音され、茶・茶葉を意味する語として用いられています。
日本語における「メイ」という音読みは、主に熟語や茶文化に関わる雅語の中で用いられます。「茗茶(めいちゃ)」「品茗(ひんめい)」など、お茶を上品に表現する言葉の中に「メイ」の読みが生きています。「ミョウ」という呉音は「茗荷(みょうが)」という身近な植物の名前に使われており、日常語の中で最もなじみのある読み方と言えるでしょう。
「メイ」という音は「名」「明」「鳴」などと同音であり、明るく澄んだ響きを持っています。お茶の清澄なイメージと「メイ」という音の爽やかさが合致しており、名前や雅号に好まれる読みのひとつです。
草かんむりに名「茗」の漢字読み方|訓読み
「茗」の訓読みは「めいちゃ」「ちゃ」などが挙げられますが、現代日本語における訓読みとしての単独使用は非常に限られています。音読みの「メイ」「ミョウ」で用いられることがほとんどです。
「茗」を「ちゃ」と訓読みする用例は古典的な文脈に限られており、現代語では「茶(ちゃ)」という漢字が一般的に使われています。「茗」はむしろ「茶」よりも格調ある・詩的な表現としてお茶を指す字として位置づけられており、文語・雅語の世界でその存在感を発揮しています。
人名における「茗」の読み方の例を挙げると以下のとおりです。
- めい(音読みそのまま・最も一般的)
- みょう(呉音読み)
- な(「名」との関連から)
- あきら(明るく清らかの意)
- しげる(茶の葉が茂る意から)
人名では「めい」という読みが最も多く使われており、女性の名前を中心に清らかで上品なイメージの名前として親しまれています。お茶の葉を連想させる清潔感と、「名」という字との組み合わせによる「名高い・名のある」という意味合いも、名付けに選ばれる理由のひとつです。
草かんむりに名「茗」の成り立ち(字源)|草かんむり+名でなぜこの意味になる?
「茗」は、部首である「艹(くさかんむり)」と「名(な・めい)」の組み合わせからなる形声文字です。形声文字とは、意味を表す意符と音を表す音符から構成される漢字であり、「茗」もこの原則に従って作られています。
「艹(くさかんむり)」が意味を担う部分
草かんむり(艹)は、植物・草に関連する意味を持つ意符です。「茗」が植物の一種であるお茶の葉・茶の木を表す字であることを示しています。草かんむりを持つ漢字には「花」「茎」「葉」「草」「茶」など植物全般に関わる字が数多くあり、「茗」もその仲間として植物由来の字であることが字形から一目でわかります。「茶」と「茗」がともに草かんむりを持つのは、同じ茶の木・茶葉を指す字として並立していることの表れです。
「名」が音を担う部分
「名(めい・みょう)」は音符として機能しており、「茗」の読み「メイ・ミョウ」をそのまま提供しています。「名」自体には「なまえ・評判・名声」という意味がありますが、「茗」においてはその意味は直接引き継がれず、「メイ・ミョウ」という音を示す役割を担っています。ただし「名」の持つ「名高い・優れた」というポジティブなイメージが「茗」という字の上品・清雅なニュアンスと自然に重なり、結果として格調ある字としての印象を生み出しています。
「茗」と「茶」はともにチャノキ(茶の木)の葉を指す字ですが、「茶」が一般的・日常的な表現であるのに対し、「茗」はより詩的・雅語的な表現として使い分けられてきました。字の成り立ちを知ることで、「茗」が持つ上品で清澄なイメージの源泉がよく理解できます。
草かんむりに名「茗」が使われる苗字と読み方
「茗」を含む苗字は日本では非常に珍しい部類に入りますが、人名(下の名前)としての使用例は現代においても見られます。清雅なイメージと上品な響きから、特に女性の名前として根強い人気があります。
「茗」を含む主な名前と読み方
| 名前 | 読み方 |
|---|---|
| 茗 | めい・みょう・な |
| 茗子 | めいこ・みょうこ |
| 茗花 | めいか・みょうか |
| 茗里 | めいり・なり |
| 茗葉 | めいは・めいば |
| 茗乃 | めいの・なの |
苗字としての「茗」を含む名字の使用例は現時点では非常に限られていますが、下の名前としての「茗」は「めい」という響きの人気とともに近年注目されている字のひとつです。「芽衣」「明依」など同音の名前が多い中で、「茗」という字を選ぶことでお茶・自然・清らかさという独自のイメージを名前に込めることができます。
「茗」一字で「めい」と読む名前は、シンプルでありながら奥行きのある印象を与えます。お茶の葉の清々しさと、「名」の字が持つ「名高い・優れた」という意味が重なり、知性と品格を兼ね備えた名前として選ばれることが多い字です。
草かんむりに名「茗」を使う熟語・言葉と読み方
「茗」を含む熟語は、お茶・茶文化に関わるものが中心です。日常語としての使用は少ないものの、茶道・詩文・雅語の世界では今も息づいている格調ある語彙が揃っています。また「茗荷」という身近な植物の名前も「茗」を含む重要な言葉のひとつです。
主な熟語・言葉一覧
| 熟語・言葉 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| 茗荷 | みょうが | ショウガ科の多年草。独特の香りを持つ日本の香味野菜として広く親しまれる。 |
| 茗茶 | めいちゃ | 上質のお茶・良質の茶葉のこと。格調ある茶の呼び名。 |
| 品茗 | ひんめい | お茶を味わい楽しむこと。中国茶文化における優雅な茶の楽しみ方を指す。 |
| 茗煙 | めいえん | お茶を点てる・煎じるときに立ち上る湯気・煙のこと。詩的な表現として使われる。 |
| 香茗 | こうめい | 香り高い上質のお茶。茶の芳しさを強調した雅語表現。 |
| 茗飲 | めいいん | お茶を飲むこと。茶を飲む行為を格調ある言葉で表現したもの。 |
「茗」を含む熟語の中で最も日常的になじみが深いのは「茗荷(みょうが)」です。薬味や天ぷらとして広く食されるこの植物の名前は、「茗」という漢字が日本人の食文化の中に深く根ざしていることを示しています。なお「茗荷」という名称の由来には諸説あり、仏教の説話に関連するという説も伝わっています。
また「品茗(ひんめい)」はお茶を丁寧に味わう行為を表す雅語で、中国茶文化における茶の楽しみ方を指す言葉として日本の茶道・茶文化にも影響を与えています。「茗」という字がお茶を詩的・上品に表現する字として古来より珍重されてきたことが、こうした語彙の豊かさからもうかがえます。
草かんむりに名「茗」を含む地名・用語と読み方
「茗」を含む地名は日本国内では非常に限られていますが、最も有名なものとして東京の「茗荷谷(みょうがだに)」が挙げられます。また茶文化・茶道に関連する施設名や雅号の中にも「茗」の字を見つけることができます。
「茗」を含む主な地名・施設名の例
| 地名・施設名 | 読み方 | 所在地・概要 |
|---|---|---|
| 茗荷谷 | みょうがだに | 東京都文京区。東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷駅」で知られる地名。 |
| 茗荷村 | みょうがむら | かつて存在した村名・地名。各地にかつての地名として残るケースがある。 |
| 茗渓会館 | めいけいかいかん | 茗荷谷周辺に所在する施設。「茗渓」は筑波大学・東京教育大学のゆかりの雅称。 |
東京都文京区の「茗荷谷(みょうがだに)」は、東京メトロ丸ノ内線の駅名としても知られる地名で、かつてこの地にみょうがが多く自生していたことが名前の由来とされています。文京区は教育機関が集まる文教地区として知られており、「茗荷谷」という地名も学術・文化の香り漂うエリアのひとつとして親しまれています。
また「茗渓(めいけい)」という言葉は、筑波大学およびその前身である東京教育大学・東京高等師範学校の雅称として用いられており、茗荷谷周辺にこれらの学校が置かれていたことに由来します。「茗渓会」という同窓会組織の名前にもなっており、「茗」の字が地域の歴史・教育文化と深く結びついた例として今に伝わっています。「茗」という一字が、お茶の清雅なイメージとともに地名・文化・教育の世界にも静かに息づいていることが、この字の奥深い魅力を物語っています。

