贈り物や書類を渡すとき、「受け取ってください」「貰ってください」で合っているのか、目上の人には失礼にならないか、迷ったことはありませんか。
結論から言うと、「受け取ってください」は間違いではありませんが、目上の人には「お受け取りください」がより適切。「貰ってください」は敬語としては不向きです。
この記事では、「受け取ってください」「貰ってください」の正しい敬語、贈り物や書類での言い換え、受け取った側の返し方まで、わかりやすく解説します!
もくじ
「受け取ってください」は敬語として正しい?
まず、「受け取ってください」が敬語として正しいのかを確認しましょう。結論として、丁寧語としては間違いではありませんが、目上の人にはやや不十分です。
「受け取ってください」は、「受け取る」に「ください」を付けた形。「ください」は丁寧語ですが、もとは命令形なので、目上の人や取引先には直接的・命令的に響くことがあります。
敬語には、相手を高める尊敬語、自分をへりくだる謙譲語、丁寧に言う丁寧語の3種類があります。「受け取る」のは相手なので、相手を立てる尊敬語にするのが、より丁寧な言い方。同僚や友人になら「どうぞ受け取ってください」で問題ありませんが、ビジネスや目上の人には、次の言い換えがおすすめです。
「受け取ってください」の丁寧な敬語「お受け取りください」
「受け取ってください」を目上の人に使うなら、「お受け取りください」が基本の言い換えです。
これは、「受け取る」に接頭語「お」を付け、相手の動作を高めた尊敬表現。「お受け取りください」だけで十分に丁寧なので、幅広い場面で使えます。「受け取る」の尊敬語としては、ほかに「お受け取りになる」という形もあります。
さらに柔らかく伝えたいときは、「お受け取りいただけますと幸いです」「お受け取りいただけますでしょうか」のように、依頼の形にするのがおすすめ。「もしよろしければ」「ご多忙のところ恐縮ですが」といったクッション言葉を添えると、より丁寧で柔らかい印象になります。
「貰ってください」は敬語で使える?
次に、「貰ってください(もらってください)」について。結論から言うと、敬語としてはやや不向きで、目上の人には避けたほうがよい表現です。
「もらってください」は「これを受け取ってください」とお願いする言い方ですが、ややカジュアルな印象が強く、上司や取引先に使うと失礼にあたることがあります。友人同士で「これ、もらって」と渡すのは自然ですが、フォーマルな場面には向きません。
そもそも「もらう」は、本来受け取る側(自分)が使う言葉。相手に「もらってください」と言うと、少しくだけた響きになりがちです。目上の人には、「お受け取りください」「お納めください」「ご査収ください」などに言い換えるのが正解です。
受け取ってください/貰ってください:贈り物を渡すときの敬語「お納めください」
とくに贈り物や手土産を渡すときは、「お納めください」という表現がふさわしいです。より丁寧でフォーマルな印象を与えられます。
「お納めください」は、「納める(受け取ってしまう)」に「お」と「ください」を付けた尊敬表現。「つまらないものですが、お納めください」「心ばかりの品ですが、どうぞお納めください」のように使います。
ただし注意点として、「お納めください」は尊敬語なので、部下や親しい同僚に使うと大げさになります。また、金額が決まっている代金の支払いや、書類の送付には向きません。もう少し控えめに渡したいときは、「ご笑納ください」(つまらないものですが、の意)という表現もありますが、こちらは親しい相手向けで、お詫びの品や高価なものには使わないのがマナーです。
受け取ってください/貰ってください:書類を送るときの敬語「ご査収ください」
ビジネスで書類や資料を送るときは、「ご査収ください」がぴったりの敬語です。
「ご査収ください」は、「内容をよく確認した上で受け取ってください」という意味。単に「受け取ってください」と言うより、確認と受け取りを同時にお願いできる、ビジネス文書の定番表現です。「先日の見積書を送付いたします。ご査収のほど、よろしくお願い申し上げます」のように使います。
ポイントは、「ご査収」は中身を確認してもらう前提なので、確認が必要な書類・データに使うこと。確認するものがない場合は「ご確認ください」「お目通しください」が適しています。贈り物には「ご査収」は使わないので、渡すものによって使い分けましょう。
受け取った側が返すときの敬語
逆に、自分が何かを受け取る側になったときの敬語も知っておくと安心です。受け取る側は、謙譲語を使ってお礼を伝えます。
「受け取る」「もらう」の謙譲語は、「いただく」「頂戴する(ちょうだいする)」。「頂戴する」のほうがより丁寧で、かしこまった場面に向いています。さらに丁寧にするなら、「拝受する」「賜る(たまわる)」という言い方もあります。
たとえば、贈り物をもらったら「頂戴します」「ありがたく頂戴いたしました」「確かに受け取りました、ありがとうございます」と返します。注意したいのは、目上の人に贈り物をするときに「頂戴してください」とは言わないこと。これは受け取る側の言葉なので、渡すときは「お納めください」を使いましょう。
「受け取ってください」「貰ってください」に関する敬語を使うときの注意点
最後に、これらの敬語を使うときの注意点をまとめます。
まず、丁寧にしようとして言葉を重ねすぎると、かえって不自然になります。「受け取ってくださいませ」はややくどく聞こえることがあり、二重敬語にも注意が必要です。シンプルで正しい言い回しを心がけましょう。
シーン別の使い分け
- 贈り物を直接渡す:お受け取りください/お納めください
- 書類・資料をメールで送る:ご査収ください
- 贈り物を控えめに(親しい相手):ご笑納ください
- 同僚・友人:どうぞ受け取ってください
大切なのは、「受け取る」「もらう」の行動をするのが誰かを考えて、尊敬語と謙譲語を使い分けること。相手や場面に合った敬語を選べば、丁寧で好印象なやり取りができます。
【参考】
- ビジネス敬語・マナー関連メディアの「受け取る・もらう」の敬語解説
- 尊敬語・謙譲語・丁寧語の使い分け、「お納めください」「ご査収ください」「ご笑納ください」の用法

