贈り物に一筆箋や添え状を添えることは、日本のビジネスマナーとして今も大切にされています。
「ほんの気持ちです」
「どうぞご笑納ください」
——たった数行の手書きのメッセージが、品物以上に相手の心に届くことがあります。
一筆箋・添え状の書き方を知っておくことで、贈り物全体の印象が大きく上がり、ビジネス関係をより丁寧に築くことができます。本記事では、贈り物に添える一筆箋・添え状の基本の書き方・場面別の例文・注意点まで詳しく解説します。
もくじ
贈り物に添え状・一筆箋を添える意味とマナー
贈り物に一筆箋や添え状を添えることには、単なる礼儀を超えた重要な意味があります。
まず「誰が・何のために・どんな気持ちで贈ったか」を相手に明確に伝えるためです。贈り物だけでは意図が伝わりにくいことがあり、一筆添えることで贈り主の誠意と感謝の気持ちが明確になります。
次に手書きの一筆箋には温かみと誠実さが伝わるという特別な効果があります。印刷物やメールとは異なり、手書きの文字は相手への個人的な敬意と手間の表れとして受け取られます。
一筆箋と添え状の違いとしては、一筆箋は小さなカード・メモ用紙に短く書いたもの、添え状は便箋に改まって書いた手紙形式のものです。手土産・粗品には一筆箋、お中元・お歳暮・贈呈品には添え状が一般的に使われます。(参考:日本郵便マナー講座・各種ビジネスマナー書籍)
添え状・一筆箋の基本構成と書き方のルール
添え状・一筆箋の基本的な構成を確認しましょう。
添え状(便箋)の基本構成
- 前文:時候の挨拶・日頃の感謝(「拝啓 〇〇の候」など)
- 主文:贈り物の趣旨・感謝の気持ち
- 末文:相手の健康・発展を祈る言葉
- 後付け:日付・署名
一筆箋の基本構成
- 書き出し:簡潔な挨拶または感謝の言葉
- 主旨:贈り物の趣旨を一〜二文で
- 締めの言葉:「ご笑納ください」「どうぞお受け取りください」など
- 署名:氏名(会社名・部署名)
書き方のルールとして、一筆箋は「拝啓・敬具」などの頭語・結語は省略可能ですが、添え状には必要です。また手書きの場合は楷書で丁寧に書くことが基本マナーです。
ビジネスの贈り物に添える一筆箋の例文【お中元・お歳暮】
お中元・お歳暮の贈り物に添える一筆箋・添え状の例文を紹介します。
お中元の添え状例文
拝啓 盛夏の候、貴社ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。
平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
つきましては、日頃のご愛顧への感謝の印として、ほんの心ばかりの品をお贈りいたします。
ご笑納いただければ幸いに存じます。
暑さ厳しい折、どうぞお体ご自愛くださいませ。
敬具
お歳暮の一筆箋例文
歳末のご挨拶を申し上げます。
本年も格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございました。
心ばかりの品をお届けいたします。どうぞご笑納くださいませ。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
〇〇〇〇(署名)
お中元は「盛夏の候」「夏の暑さ厳しい折」、お歳暮は「歳末」「師走」などの季節の言葉を書き出しに入れると、季節感のある格調ある文章になります。
ビジネスの贈り物に添える一筆箋の例文【手土産・粗品】
訪問時の手土産・粗品に添える一筆箋の例文を紹介します。
訪問時の手土産に添える一筆箋例文
いつも大変お世話になっております。
本日はお時間をいただき、ありがとうございます。
ほんの心ばかりのものをお持ちしました。
よろしければ皆さまでお召し上がりください。
〇〇〇〇(署名)
粗品・記念品に添える一筆箋例文
平素より格別のご支援を賜り、誠にありがとうございます。
つきましては、感謝の気持ちを込めまして粗品をお贈りいたします。
お役に立てましたら幸いでございます。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
〇〇〇〇(署名)
手土産の一筆箋は短く簡潔にまとめるのが基本で、三〜五行程度が目安です。長すぎると読むのに手間がかかるため、要点を絞って書きましょう。
ビジネスの贈り物に添える一筆箋の例文【お礼・記念品】
お礼の品・記念品・退職祝いなどに添える一筆箋の例文を紹介します。
お礼の品に添える一筆箋例文
先日は大変お世話になりました。
おかげさまで無事に〇〇を終えることができました。
心ばかりのお礼の品をお贈りします。
どうぞお受け取りください。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
〇〇〇〇(署名)
退職・異動の挨拶に添える一筆箋例文
このたびは在職中に格別のお力添えを賜り、誠にありがとうございました。
ほんのお礼のしるしですが、どうぞご笑納いただければ幸いです。
今後ともご指導のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
〇〇〇〇(署名)
お礼の品に添える一筆箋では「何に対するお礼なのか」を一文で明記することで、相手に感謝の意図が正確に伝わります。
一筆箋・添え状を書くときの注意点とNGフレーズ
一筆箋・添え状を書く際の注意点とやってはいけないNGフレーズをまとめます。
注意点
- 忌み言葉(いみことば)を避ける:「切れる」「別れる」「終わる」「衰える」など、縁起の悪い言葉は避けましょう。慶事・ビジネスの贈り物では特に注意が必要です。
- 重ね言葉を避ける:「重ね重ね」「くれぐれも」「またまた」などの繰り返し言葉は弔事では避けるべき表現ですが、ビジネスの贈り物でも多用は避けましょう。
- 品物の値段・金額に言及しない:「〇〇円のものですが」のように金額を述べることは無粋とされます。
NGフレーズと言い換え
- 「つまらないものですが」→「心ばかりのものですが」「ほんの気持ちですが」に言い換える。
- 「粗末なものですが」→「粗品ではございますが」程度に留め、自虐的になりすぎない。
- 「よかったら使ってください」(カジュアルすぎる)→「よろしければお使いください」「お役に立てれば幸いです」に言い換える。
一筆箋・添え状は短くても丁寧に、相手への感謝と敬意を素直に表現することが最も大切です。テンプレートをそのまま使うのではなく、一言でも自分の言葉を加えることで、相手の心により深く届く文章になります。

