顧みる・省みるの違い!「危険をかえりみない」の漢字はどっち?

かえりみる」という言葉を漢字で書くとき、「顧みる」と「省みる」のどちらを使えばいいか迷ったことはありませんか?「危険をかえりみない」「自らをかえりみる」「過去をかえりみる」——それぞれ正しい漢字は違います。なんとなく使っているとミスが起きやすい言葉です。

この記事では「顧みる」と「省みる」の意味の違いから、語源・漢字の成り立ち・使い分けのコツ・例文・よくある疑問まで、わかりやすく解説します!

「顧みる」と「省みる」の違いをひと言で——同じ読みでも意味はまったく別

省みる」は「自分の行動を反省すること」です。「顧みる」は「過去を思い出す」ことと「後ろを振り向く」という2つの意味があります。また、「顧みない」と否定形になると、「気にしない」とか「心に留めない」という意味になります。

漢字読み核心の意味英語
省みるかえりみる自分の行動を反省するreflect(リフレクト)
顧みるかえりみる過去を思い起こす・後ろを振り向く・気にかけるlook back(ルックバック)

省みる」は内向きの反省、「顧みる」は外向きの回顧・注目——このひと言の対比を頭に入れておくだけで、ほぼすべての場面で正しく使い分けられます。

「省みる」の意味と使い方——省みるは「反省する」ときだけ使う言葉

「省みる」というのは、「省」の文字どおり「反省する」ことです。自分の行いを振り返って、何が良くて何が悪かったのか考えることが「省みる」です。逆にいえば、反省する場合にしか用いません。 (参照:ことばのエチュード)

「省」という漢字は「省略」「省エネ」などにも使われ、「少なくする・減らす・検討する」というイメージを持ちます。自分の行動を検討し直すこと——それが「省みる」の本質です。

「省みる」の例文

  • 今回の失敗を省みて、次回は同じミスをしないようにしたい。
  • 自分の言動を省みると、相手への配慮が足りなかったと気づいた。
  • 毎晩、その日の行動を省みる習慣をつけている。
  • 批判を受けて自らを省みた。

「省みる」は必ず「自分自身の言動・行動」に対して使う言葉です。他人の行動や過去の出来事全般を振り返る場面には使えません。

「顧みる」の意味と使い方——顧みるが持つ2つの意味と使える場面

顧みる」には2つの意味がありますが、主に「顧」の文字どおり「回顧する」という意味で用いられます。つまり、過ぎ去ったことを思い起こして振り返ることが「顧みる」です。また、あまり用いられませんが、体の動きとして「後ろを振り向く」ことも「顧みる」になります。

①回顧する(過去を思い起こす)

  • 自分の歩んできた人生を顧みると、多くの人に支えられてきたと感じる。
  • 30年の会社の歴史を顧みながら、節目の挨拶を述べた。
  • 卒業アルバムを見ながら、しばらく当時のことを顧みた。

②後ろを振り向く(物理的な動作)

  • ふと顧みれば、弟がもの言いたげに立っていた。
  • 呼ぶ声がして顧みると、妻が後を追ってきていた。

「顧みる」は自分だけでなく、組織・歴史・社会など幅広い対象を振り返るときにも使えます「省みる」よりも対象の幅が広い言葉です。

「危険をかえりみない」はどちらの漢字?——迷いやすい否定形の正解

「かえりみる」の否定形「かえりみない」は、特に使い分けが迷いやすい場面です。

批判をかえりみない」という場合は、批判を気にかけない、一顧だにしないという意味ですから「顧」の方が適切です。「省みる」は「反省する」という意味なので、「批判を受けて自らをかえりみる」といった場合はこちらを使います。

「かえりみる」を「かえりみない」と否定形にすると、「気にしない」「心に留めない」という意味になります。この場合は「顧」を用いて「顧みない」にします。

フレーズ正しい漢字理由
危険をかえりみない顧みない危険を「気にしない・心に留めない」という意味
批判をかえりみない顧みない批判を「気にかけない」という意味
家族をかえりみない顧みない家族を「気にかけない・注意を向けない」という意味
自らをかえりみる省みる自分の行動を「反省する」という意味

かえりみない(否定形)」はほぼすべて「顧みない」と書きます。「省みない」は「反省しない」という意味になりますが、日常ではほとんど使われません。

顧みる・省みるの使い分けを一発で覚える方法——漢字の成り立ちとスパッと覚えるコツ

2つの「かえりみる」を使い分けるには、それぞれの漢字の意味に注目するのが最も効果的です。

「省」の意味から覚える

「省」という字は、「省略・反省・省エネ」など「内側を見直す・少なくする」というイメージを持ちます。自分の内側(言動・行動)を見直すのが「省みる」です。「反省」の「省」と同じ字と覚えれば完璧です。

「顧」の意味から覚える

「顧」という字は、「回顧・顧客・一顧だにしない」など「振り向く・気にかける・注目する」というイメージを持ちます。外側(過去・他者・状況)に目を向けるのが「顧みる」です。「顧客(大切にすべき客)」の「顧」と同じと覚えると忘れにくいです。

スパッと覚える一言フレーズ

  • 「省みる」=「反省」の省——自分の内側を見直す
  • 「顧みる」=「回顧」の顧——過去や外側に目を向ける

顧みる・省みるの例文比較——同じ場面でどう変わるか確認しよう

同じ「かえりみる」でも漢字が変わるとニュアンスが大きく変わります。比較して確認しましょう。

省みる顧みる
自分の言動を〇〇自分の言動を反省する(正しい)自分の言動を振り返り思い起こす(正しい)
過去の歴史を〇〇❌ 意味が通じない(反省する対象ではない)過去の歴史を振り返り思い起こす(正しい)
家族を〇〇ない❌ 日常ではほぼ使わない家族を気にかけない(正しい)
自分の行いを〇〇て改める自分の行いを反省して改める(最適)自分の行いを振り返って改める(使えるが「省みる」の方が適切)

自分の行動を反省・見直す」場面では「省みる」、それ以外の「振り返る・気にかける」場面では「顧みる」が基本です。迷ったときはこの原則に立ち返りましょう。

顧みる・省みるに関するよくある疑問——「三顧の礼」と「内省」も押さえよう

Q. 「内省する」は「省みる」と同じ意味?

A. 非常に近い意味です。「内省」は「自分の心や行動を内側から深く見つめ直すこと」で、「省みる」と同じ自己反省の文脈で使われます。「省みる」がやや日常的・口語的なのに対し、「内省」はやや格式ある書き言葉・学術的な場面でよく使われます。

Q. 「三顧の礼」の「顧」は「顧みる」と同じ?

A. 同じ「顧」の字を使います。「三顧の礼(さんこのれい)」とは、中国の三国志に登場するエピソードで、劉備が諸葛亮のもとへ三度も足を運んで礼をつくして招いたという故事からきた言葉です。

「顧」は「訪ね気にかける」という意味で、「顧みる」が持つ「気にかける・注目する」という意味と同じ漢字の用法です。

Q. ビジネスメールでは「顧みる」と「省みる」どちらを使うことが多い?

A. 日常会話やビジネスシーンで使われる「顧みる」と「省みる」は、どちらも振り返るというニュアンスを持ちながら、意味や使い方に明確な違いがあります。

ビジネスメールでは「省みる」が使われることが多く、「自分の至らない点を省みてまいります」「今後は初心に省みて取り組む所存です」のような謙虚さを示す文脈に使います。「顧みる」はスピーチや周年の挨拶文など、過去の歩みを振り返る場面に向いています。